文春オンライン

特集観る将棋、読む将棋

「佐藤の銀が止まらない」観る将ファンが選んだ2021年度のベストシーンとは

「佐藤の銀が止まらない」観る将ファンが選んだ2021年度のベストシーンとは

観る将アワード2021/2022 レポート #2

2022/05/21
note

「私は、コラムが読みたくて、池永さんの本は必ず目を通しています」

――池永五段は、「関西将棋会館公式note」に書かれた文章が評判になっていました。コメントご紹介します。

 noteに書かれた『歴史が塗り替えられる狭間で』は本当に面白かった。藤井聡太さんが「中学生棋士」としてフラッシュをあびる裏側で、自分が昇段できたかもしれないもどかしい一日を感じる。三段リーグでは30人近くいて抜けていくのは2人だけ。「また来期が始まる」、そんな雰囲気を感じさせる名文でした。(28歳/女性)

――この文章は、未読の方がおられましたら、ぜひご覧になってください。

遠山 池永五段は、本当に文章が面白いですよ。私の今のイチオシです。

ADVERTISEMENT

池永天志五段(日本将棋連盟棋士データベースより)

――この記事以外も?

遠山 彼は定跡書もけっこう書いているんですが、そこのコラムが面白いんですよ。私は、コラムが読みたくて、池永さんの本は必ず目を通しています。この三段リーグの話は、自分が負けて上がれなかった、ある意味つらい話。そのエピソードを暗くならず面白く書くのは、難しいですよね。

深浦 たしかに。

遠山 彼と読売新聞の観戦記を書いている藤井奈々さんの文章が今はイチオシです。

深浦 すごいな。遠山くん、いろいろ見てるんだね。

遠山 自分も文章を書くので、いろんな目線で他の人の文章も読みますね。

――今回は遠山先生のお墨付きもいただいたので、池永五段でよろしいでしょうか。

深浦 そうですね。

――では、ベストエッセイスト賞は、池永天志五段とさせていただきます。

受賞の言葉(池永天志五段):

 この度は、ベストエッセイスト部門に選んでいただきありがとうございます。

「関西将棋会館公式note」に寄稿したエッセイは、自分の記憶がまだあるうちに残しておこうと思い書いたものです。

 想像以上の反響があり、大変驚いております。

 棋士は文章を書くのが上手い方が多く、こっそり?名文を残している方もたくさんいらっしゃいます。

 様々な媒体から探してみると、もっと面白いものが見つかると思いますのでぜひ。

ベストYouTuber賞 「銀の盾」を将棋界で初めてもらった

――続いて今回新設されたベストYouTuber賞です。アンケート結果は以下のようになりました。

1位 香川愛生女流四段
2位 森内俊之九段
3位 山口恵梨子女流二段

――1位の香川愛生女流四段へのコメントをご紹介します。

 将棋界YouTuberの第一人者という印象。ファンがどういうものを求め形にしていくかという行動力に、普及に対する強い情熱を感じます。特に渡辺明名人を迎えての棋聖戦振り返りと自戦解説は企画の実現そのものに驚かされました。(42歳/男性)

――コメントにもありますが、将棋界YouTuberの第一人者ですね。

遠山 チャンネル登録者数が10万人を超えるともらえる「銀の盾」を将棋界で初めてもらったんですよね。

女流棋士・香川愛生チャンネルより

――香川愛生チャンネルの影響力はすごいらしいですね。ゲストにもいろんな方が出ておられて。

深浦 自分は、ずいぶん前ですがポケモンカードをやるというので出たことがありまして、それから香川さんと山口さんが、ポケモンカードの封を開けるというのも見ています。

――先生、けっこう見ておられるんですね(笑)。

深浦 そんな多くはないですが。

――棋士の先生は、どういうYouTubeを見ますか?

遠山 将棋ウォーズの対局とかは見ないんですが。

深浦 将棋関係は意外と見ないですね。

――そりゃそうですよね(笑)。棋士ですからね。

遠山 もちろんファンの方が上達するにはとてもいいと思いますよ。香川さんは、盛り上げようという気持ちがすごいですよね。藤森哲也五段もYouTuberとして活躍していて登録者数も多いんですが「10万人はちょっと普通じゃいかない」と言ってましたね。

深浦 パイオニアですよね。伊藤真吾くんも初期からやっていて、この二人はすごいなと思いますね。