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「佐藤の銀が止まらない」観る将ファンが選んだ2021年度のベストシーンとは

「佐藤の銀が止まらない」観る将ファンが選んだ2021年度のベストシーンとは

観る将アワード2021/2022 レポート #2

2022/05/21

〈佐藤の激しい指し回しは「丸太を振り回す」といった表現が用いられ、ファンの人気を集めている。いまは手ごろな丸太を物色している段階だろうか〉

「手ごろな丸太」ってなんだよとツッコミながら爆笑しました。(42歳/男性)

――こちらは「生姜」記者です。

深浦 言いたい放題になってきましたね(笑)。

遠山 これは用意してきましたね(笑)。どっかで書いてやろうと思っていたんでしょう。そこに先ほどと差がありますね。

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ユーモアあふれる棋譜コメはぜひ見てほしい

――続いて王将戦の第3局、渡辺明王将と藤井聡太四冠の対局からです。

 鉄道ファンで知られる藤井聡太竜王と地下鉄飛車をかけた銀杏節が冴え渡る棋譜コメ。(48歳/女性)

――これは地下鉄飛車の流れになったところで、うまくいけば「藤井鉄道は大きな利益を上げられる」としたものですね。

深浦 この日、自分は立ち会いだったんですけど、主催がスポニチさんで。銀杏記者とスポニチさんは「地下鉄飛車」ってフレーズを使いたくてしょうがない感じでした(笑)。

――わはは(笑)。

深浦 でも結局、この地下鉄飛車はでなかったんですよね(笑)。

――次は、女流名人戦の第4局、里見香奈女流名人対伊藤沙恵女流三段の対戦から。こちらは「武蔵」記者です。

 出雲のイナズマと呼ばれる里見女流名人(当時)の終盤の攻めを凌ぐ桂跳ねについて「避雷針の如き桂跳ね」というコメントがピッタリの表現だと思いました。(33歳/女性)

遠山 「イナズマ」を落とさせないということですか。

深浦 なるほど。

遠山 これはうまい表現ですね。

――最後、これも「銀杏」記者。王位戦の予選から渡辺明名人-山本博志四段の対局です。

 28手目で山本四段があまりしない穴熊だとわかり、「意外である」と綴ったあとの31手目。渡辺は「すみっコぐらし」が好きで、キャラクターのぬいぐるみやマスクケースを持っている。穴熊は将棋における「すみっコぐらし」である。衝撃でした。(60歳/女性)

遠山 これは用意していましたね(笑)。

――用意の一手ですか(笑)。

深浦 わはは(笑)。なるほど。

――面白いですね。遠山先生が先ほど、評価値を見るようになって棋譜コメを見る人が減ったのではないかと危惧されていましたが。

遠山 今回、棋譜コメのアンケートが昨年よりもやや減ってしまったので。

――ちゃんと読むようにと。

遠山 というお願いをしたい気持ちもありつつ、記者側も先ほどの牛蒡記者のようにファンの人が喜ぶようなコメントを書くように頑張ってほしいなと思いますね。

©石川啓次/文藝春秋

――では、今年のベスト棋譜コメ賞は、ツイッターのコメントも大いに湧かせた佐藤康光九段対郷田真隆九段の牛蒡記者でよろしいでしょうか?

遠山 はい。

深浦 シンプルでとてもよかったです。

――では、ベスト棋譜コメ賞は、牛蒡記者に決まりました!

受賞の言葉(牛蒡記者):

「ベスト棋譜コメ部門」に選んでいただきまして、ありがとうございます。

 私も将棋ファンの皆さまと同じく、佐藤康光九段の構想に度肝を抜かれ、終盤の攻防に胸を躍らせながら中継していました。

 本局を担当できたことをうれしく思っています。

 こうして8部門を発表した「観る将アワード2021/2022」。今回もアンケートご投票いただいたみなさん本当にありがとうございました。

 ちなみに昨年度は、緊急事態宣言中だったためグッと我慢した打ち上げも、今年はささやかながら開催され、みなさんと乾杯することができました。私たちも来年度の開催を今から楽しみにしていますので、ぜひまたご投票をよろしくお願いします。

◆ ◆ ◆

 このイベントは、文春将棋ムック「読む将棋2022」の発売に合わせてジュンク堂書店池袋本店にて行われました。

 人気棋士のインタビュー、コラム、コミックなどが一冊にまとまった、観る将ファンに向けた「読む将棋」の決定版(全144ページ)。現在、好評発売中です。

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