45 リバーシティ21(1991~1999年/三井不動産)
この連載を締めくくるに当たって躊躇することなくこの物件を選んだ。このマンションは中央区佃の大規模再開発事業である以上に、21世紀のマンションによる「都市の原風景」を作ったという功績を残した作品群である。
住宅・都市整備公団等との長期にわたる巨大JVであるが、分譲マンション3棟はいずれも三井不動産が分譲している。
3棟とも超高層タワー物件で、シティフロントタワーは1991年竣工、1992年分譲で、31階建て。スカイライトタワーは1992年分譲、1993年に竣工した40階建て。センチュリーパークタワーはやや間を空けて開発され、1997年に分譲され1999年に竣工した。こちらは54階建てである。
この物件の場合、細かい説明はすでに不要だ。デベロップメントとは何かという問いはこの一枚の写真が語り尽くしていると思われた。私は当時この写真を見て素直に感動した。このような風景が現実になるとは思っていなかった。
タワーマンションが好きな人も嫌いな人もいるだろう。だが、現在では当たり前となった風景の出発点がここにある。
1991年からマンション市場にどのような暴風が吹いていたかはすでに述べた通りだ。最初の2棟が分譲された時にはマンション価格の下落が著しく、価格が付かないような状態ではなかったか。デフレ期、「失われた10年」の最中にこの3棟は分譲され竣工した。あらゆる価値が縮小していく中で、このプロジェクトは新たな価値を創造し、その後の道を切り拓いた。それだけでも重要な作品だ。
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時代の変化というのは、振り返って初めて気がつくことが多いのではないか。また、振り返って初めて見えてくる物件の意味も存在するのではないだろうか。今後、どのようなマンションが登場して歴史を変えていくのだろうか。マンションはどのように生き残っていくのか。私はなお、様々な興味を持って市場を見続けていきたいと思っている。