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銀座で3000万円台、厚すぎる床…“失われたデフレ時代”のすごいマンション

銀座で3000万円台、厚すぎる床…“失われたデフレ時代”のすごいマンション

伝説マンションBEST45 第7回・1990年代「デフレ時代のレジェンド」編

2022/06/26
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42 シティ能見台(1990~2008年/京浜急行電鉄、その他のJV)

 シティ能見台(神奈川県横浜市金沢区能見台)のプロジェクトは全24棟、総戸数1700戸の大プロジェクトである。

シティ能見台ふれあいの街の外観写真(2018年5月撮影)

 分譲は「ふれあいの街」の街区からスタート、1989年12月に分譲開始しており、バブル崩壊前のプロジェクトであった。次に「いこいの街」が分譲されたのが1991年4月でバブル崩壊が始まった後、最後に分譲された「つどいの街」は1997年スタートと時間差がある。

 主たる売主は京浜急行電鉄であるが、同社が単独で最後まで分譲したのは「いこいの街」のみ。最初の分譲である「ふれあいの街」は山手開発と熊谷組のJVで施工会社は熊谷組であった。その後は目まぐるしく売主とゼネコンの組み合わせが変わる。このプロジェクトは総じて1990年代に進行していて、その意味では分譲価格が徐々に下がる逆風の中でのプロジェクトであった。

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シティ能見台ふれあいの街の間取り(4LDK+納戸のプラン・97.62㎡)

 このマンションはとにかく広い。専有面積は80㎡以上が基本ラインになっており90㎡台、100㎡台の住戸も珍しくない。バスが主な交通手段となる「バス便物件」ではあるが、敷地近くを国道16号線と横浜横須賀道路が通るなど車の利便性は重視されている。

 交通利便性と広さのどちらを優先して住まいを選ぶのか。クルマ離れがさらに進むとどうなるのか。人口減少が進むと能見台周辺の住環境はどう変化するのか等、この物件は今後の都市のあり方を映し出す鏡のような役割を担っているように思える。