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「僕はニセ日本人」中国当局がお墨付きを与えた“親中日本人”クリエイター・竹内亮氏(43)の正体とは?

2022/10/16
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 政治的リスクへの無関心は、和之夢に今年七月まで勤務した元社員の日本人女性・柚子(ヨウヅ)(28)の証言からも垣間見える。

「中国政府に媚びたい考えはない。でも、人民日報や外交部の記者会見で取り上げられることには、『有名になってうれしいな』という感覚しかありませんでした」

 こうしたイノセントさが「赤化」の素地となったのか。制作会社時代から竹内を知る、50代のテレビ関係者は近年の印象をこう話す。

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「若いころの彼は、仕事は真面目で性格も素直。中国に行くと聞き応援したい気持ちだった。しかし近年、日本のテレビ局の連絡を『中国の悪口を言うから』と拒否したり、過去に中国ドキュメンタリーを多く手掛けた旧知の同業者に『あなたは中国のよくない部分ばかりを撮る』と話したり。姿勢が変わったと思う」

資金源は「ファーウェイ」

 竹内の姿勢と同様、変化したと思われるのが和之夢の経営状況だ。

 本来、中国のプラットフォームにおける動画配信の利益は、数千PVあたり0.1元(約2円)程度ともいう。そのため、かつては竹内夫妻が「金がない」とボヤいていたという証言もあるが、もはや過去の話だ。和之夢の関係者は言う。

「ウチは実態としては制作会社兼広告会社。現在の収益は中国企業との“合作(ホオヅオ)”(協力)への依存度が高く、ほとんどの映像は各社の打診を受け作っている。動画のクレジットに、企業名を明記しないケースもあるが、作品内で製品を使う様子を映し込む手法が多いので、よく見ればどこの会社がスポンサーかはわかる」

筆者(中央)と竹内氏(左)

 竹内の代表作のひとつに『華為100張面孔』(ファーウェイ百面相)という動画がある。2022年3月12日、SNS『微博(ウエイボオ)』の動画再生数が全中国で1位を記録するなど多くの中国人に支持された作品だ。

 ファーウェイは、中国が誇る世界的な通信機器メーカーである。しかし、近年は権力との近さが米国の疑義を招いて制裁を受け、多くの国の市場から締め出されつつある。

 竹内はそんな同社の「核心」に迫ることをうたい、30分程度のドキュメンタリー番組を7本も制作。疑義を晴らそうとした――。

 だが、作品の制作費がファーウェイから拠出されたことが、和之夢とファーウェイ関連企業の双方の関係者への聞き込みから判明している。他にも自動車大手・ジーリー(吉利汽車)など、中国の各社と和之夢の間にも同様の制作体制が存在する。

 ルポライター・安田峰俊氏による「『親中日本人』の言い分を聞いてみた」全文は、月刊「文藝春秋」2022年11月号と「文藝春秋 電子版」に掲載しています。

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「親中日本人」の言い分を聞いてみた

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