――すごく準備をされているのですね。
狩野:それが、うまくいけばビシッと決まるし。まぁ、だいたい決まらないときの方が多いんですけど……。言い間違いとか、噛んじゃったりして。
――準備を怠らないところが、今の活躍に繋がりつつも……。
狩野:なんすかねぇ。どんなに準備をしても嚙んじゃって、MCの人に「はい、ストップっ!」って止められて。間違えたところを掘り下げられる……。僕も、慌てて「いや、違うんですよ! この後にね……」って話を続けようとしても、「もうエエって!」って。こっちは喋りたい。向こうは止めたいみたいな。
そのドタバタや、僕が恥ずかしがったり、焦ってる様子を見て、視聴者の人たちは笑うみたいな。で、収録が終わってスタジオを出るときに、ディレクターさんに「面白かったね!」って言われるんですけど、あんまり手ごたえ感じてなくて。
オチまでいけば、こんなもんじゃないのに、とか。なんかこう、気持ちにしこりを残しつつ、次は絶対成功しよう……!って思いながら、今も続いているような。
――準備とは別の部分で笑いが起きることに対して、どう思いますか?
狩野:こんなに練習しても、違うところで笑いがとれるんだったら、練習なんてマジ不要じゃん! って思って。あるとき、練習しないで収録に行ったことがあるんですよ。そしたら、こっちが噛んでしまったときに、たぶん「僕をイジってください……!」みたいな欲が、出ちゃってたんでしょうね。フェロモンみたいなやつが。全然MCの方がいじってくれなかったです。まぁ、伝わるんだと思いますよ。そういう匂いみたいなやつって。
それに、おバカ芸人みたいなフレーズが世の中に出てきたのって、たぶん『クイズ!ヘキサゴン』とか、あのあたりくらいから広まったと思うんですけど。やっぱりそういう風に言われることにたいして、悔しいとは思いますから。今でも、夢は自分の冠番組もって、MCでドンっ! てやるのが夢なんです。だから、おバカで生きていくとか、腹くくっちゃったらちょっと違うなと思うし。
上沼恵美子、島田紳助……大物芸人に可愛がられるワケ
――狩野さんは大物芸能人からも可愛がられている印象があります。
狩野:確かに、デビュー当時は、白スーツでナルシストキャラとかで、TVに出始めてたんですけど……。でも、僕なんてお笑いの聖地である大阪とか、絶対受け入れられないだろうなって、どこかで思ってたんですよ。