20年目を迎えて、本当はやってみたいことは……
――芸歴20年ですが、中堅という意識はありますか?
狩野:中堅って感覚はないっすね。若手かどうかっていうより、「俺、いきます!」って突き進む気持ちは、デビューから変わらないです。僕が尊敬する先輩たち、出川さんしかり、歳をとっても変わらずに、何でも突っ込んでいく人たちを間近で見てるし。周りの同期や先輩たちにしても「おぉ、あれいったんだ!」みたいな話を聞くと、やっぱ刺激されるし。
僕、思うんすよ。今、若い芸人たちがどんどん出てきてるじゃないですか。たとえば、第7世代の若くて元気な人たちがスタジオにいるとします。そこで、「さぁ、ここで中継繋がってます…!」ってなったときに、僕は真冬の寒空の中、ブルブル震えながら外にいる。「おい! なんで若手がスタジオにいるんだよ!」とか突っ込む。で、「今からファイアーリンボーダンスしてきます!」とか言いながら、「お前ら、ふざけんなよ!」なんてやってる自分が好きなんすよね~。そこは、若い子たちにはできないような、リアクションもとれるだろし。
――若手芸人の活躍を見て思うことはありますか?
狩野:若い子たちが活躍していく中で、ほんとうは、先輩としてスタジオでも話を振ったり、突っ込んだり、絡んであげなきゃいけないんでしょうけど。でも、またビビりにつながるんですが。俺が喋って、相手をスベらせちゃったらどうしようとか。若手で大事な時期に、巻き込んでしまったらとか、考えちゃうんすよ。一つのことでも、結構運命変わっちゃうじゃないですか。それで足を引っ張っちゃったらって。もちろん、そんな風に思う自分は、良くないと思うんです。
彼らと一緒に戦う中で、むしろ、彼らがおぼれたとしても助けてあげたい。もっと覚悟を持たないとダメだなっていうのは、ここ1、2年は思ってます。もっと後輩たちを美味しくさせるようなことをしたいって。有吉さんとか、ロンブー淳さんとか、そうやって自分のことを扱ってくれたし、本当はそっちのところにいかないといけないんだよなって…。
――謹慎から復帰後、お仕事への意識は変わりましたか?
狩野:昔は、この仕事、どんな感じか見えないです。自分がやると、どんな展開になるか分からないってやつは、お断りとかもあったんですよ。迷惑かけちゃったらって。だけど復帰後は、食わず嫌いではなくやってみる。そう、まずやってみよう感は強くなりました。そこで失敗しても、ダメならダメでジャッジしていくし、スタッフさんのほうでも狩野じゃねえなって、なるかもしれないし。まずはやってみようと。
僕はこれから自分の冠番組持ちたいし、MCもしたい。だから、20年でも30年でも一生懸命頑張るのは変わらないですね。一生懸命頑張っていれば、何かミラクルも起きるかもしれないですし(笑)。
撮影=鈴木七絵/文藝春秋
ヘアメイク=Nao
スタイリング=中谷東一