1ページ目から読む
5/5ページ目

 こう見ると、やはり年齢という分野では大山が突出している。干支が二回り違う棋士と20回もタイトル戦を戦う棋士が今後も現れるかどうか。そして親子ほど年齢の離れた棋士と、いや大山の時代を考えると祖父と孫の年齢差というべきか。事実、大山は上記の63歳名人挑戦時には「相手が中原さんでよかった、谷川さんとだったら孫みたいなものだもの」と語っているのだ。

 南―大山戦は南の3連勝で終わったが、大山は子とも孫ともといえる年齢差がある南棋王との対戦について、自戦記で以下のように触れている。

 南芳一棋王との年齢差は40。五番勝負に臨むにあたり、体力的な問題を気にかけて下さる方も多いが、一日に、10時間や15時間頑張ることは可能で、どうってことはない。

 そういうことを言う人もいるが、それは、負けた時の弁解に過ぎない、と私は思っている。
 むしろ問題なのは、気力の方。気力の持久力である。
 こと将棋に限らず大切なことは、やる気があるかないか、だが、やる気があっても持久力が無くなると、気が薄れ、ムラが生じ、思わぬミスが出ることが多いからである(将棋世界90年4月号、大山康晴自戦記より)

藤井か羽生か…将棋ファンが待ち望んだ七番勝負

 改めて今回の藤井―羽生戦である。さすがに年齢差やこれまでの直接対決の結果、あるいは今更触れるまでもない藤井の勝ちっぷりを考えると、藤井優勢を予想する声が多いだろう。羽生は藤井との年齢差について、

ADVERTISEMENT

「確かに年齢差はありますが、実際に対局が始まってしまえば、それは考えずに対局することになると思います」

 と語った。

第1局は藤井聡太王将が制した。羽生善治九段は、先手番の次局で巻き返せるか 写真提供:日本将棋連盟

 そして藤井は「羽生九段とタイトル戦の舞台で対局できるのは楽しみな気持ちが大きいです」という。

 藤井が史上空前の八冠制覇に向けて着々と足固めをなすか、あるいは羽生が前人未到のタイトル通算100期を実現するか。筆者も楽しみにこの対決を見たいと思う。

この記事を応援したい方は上の駒をクリック 。