「笑顔が上手く作れなかった」斎藤明日斗五段が兄弟弟子の活躍に感じた“悔しさとは別の感情”とは

――22年度の斎藤さんは8割を超える高勝率でしたが、現代将棋についていかないと勝率を維持するのは難しいのではないでしょうか。

斎藤　普通はそうなんでしょうね。実際、先頭集団を行っている方と比べて、自分は序盤に詳しくないと思います。でも、そういったところで外れた道を歩くというか、自分なりに最先端の形を分析してそこから変化していくという将棋が多く、それがうまくいって結果に結びついた気もします。

　藤井竜王も終盤力と、それによる逆転劇がクローズアップされるフシがありますが、最近の藤井将棋はまずなかなか悪くなりません。そういった意味でも、自分の憧れは変えていかなければいけないのかもしれません。

まだ藤井竜王と戦えるステージに立っていないので

――斎藤さんに限らず、現在の棋士は藤井竜王を倒さないとタイトルを獲得するのは難しい時代になっています。

斎藤　今、一番強い棋士である藤井竜王に対して我々はどう戦っていくかということですが、自分はまだ藤井竜王と戦えるステージに立っていないので、現実的には考えられません。まずは自分の力をつけていくしかないでしょうね。

――今後の目標は？

斎藤　大きな目標はタイトル挑戦で、本戦入りした棋聖戦はかなり気合が入っていたのですが、羽生先生に負かされました。中盤で難しい局面を提示されたときに上手く対応できず、トップ棋士に軽くひねられてしまったという感じで内容的にはボロ負けでした。色々な課題が見えた一局ですね。

　ただ、直後の対局を勝てて、年度勝率8割を達成できたのはよかったです。今までは年度成績で7割も行ったことがなかったので自信になりました。それでも課題も山積みで、本戦や決勝トーナメントでトップ棋士との差を感じることが多かったので、今期はそこを意識して取り組みたいです。もう1つはC級1組からの昇級ですね。前回のような準備ができて、また色々な課題をクリアできれば目標に届くと思っています。

最初から
記事を読む

「羽生マジックの逆転に憧れるのですが…」勝率2位、絶好調の斎藤明日斗五段が明かす“現代将棋の難しさ”

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。