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ゲーム文化の成熟
いつの時代も若い文化は叩かれるものだ。それこそ明治時代には、新聞が「野球害毒論」を載せていたそうである。WBCで大盛りあがりしていた状況を考えると信じられないが、とにかく新しい文化とは最初は受け入れられにくいものなのだろう。
テレビゲームも同じである。かつては否定的に捉えられるケースも多かったが、いまはかなり認識が変わった。もちろんいまなお根拠もなく悪い印象を持っている人はゼロにはなっていないが、それでも時代は大きく変わっているのである。
おじいちゃん・おばあちゃんがゲーマーでもおかしくない時代はすぐそばに
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、ゲームを見下した態度とまったく無縁である。それどころか、みんなの知っているマリオを表情豊かに描き、いろいろなオマージュだらけの楽しいファミリー映画になっている。
ゲームを遊んでいる人たちも大人になったどころか、かなり歳を取ってきた。ファミリーコンピュータで『スーパーマリオブラザーズ』が発売されたのは1985年。いまから38年前のことであり、このころ20歳前後だった人はいまや50~60代あたりだろう。おじいちゃん・おばあちゃんがゲーマーでもおかしくない時代はすぐそばに来ている。
テレビゲームという文化が成熟し、制作陣も観客もそれを愛する人が増えてきて、優れた映画作品という形でその事実が見えるようになってきた。『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、まさしく「ゲーム文化の成熟」を指し示す大ヒット作品なのである。