“UFOだけじゃない町”

 羽咋駅前にあるのは、UFOのオブジェだけではない。ひとつは、相撲を取る力士の像。羽咋神社の神事のひとつで、2000年以上前から続く唐戸山神事相撲にちなんだもの。相撲が行われる土俵は日本初の野外の土俵なのだとか。

 もうひとつは、カタカナで「ジャーン!」と彫られた石のオブジェ。マンガの擬音がそのまま3Dになって飛び出した、地元の商店街が設置したオブジェだ。これもまた、町おこしの一環だという。

 

 あの手この手、といえば聞こえは悪いかもしれないが、羽咋の町は歩けば歩くだけ、何かが出てくる町なのかもしれない。UFOの町といって、それだけで帰ってしまえばたどり着けないものがある。

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 能登半島の観光地というと、和倉温泉のある七尾が圧倒的な知名度を誇る。が、七尾以外にも、羽咋のような小さいけれど“何かがある”町もある。寄り道も、してみれば意外な楽しみを見つけることができるのだ。

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