【第5ブロック:第46~55局】(利き手側:糸谷)
隣のブースは「将棋の超聖地・天童市」。ふるさと納税のPRを担当していたのは、山形県天童市の職員でアマ強豪の中川慧梧さんだ。天童市は将棋駒の一大生産地で、ふるさと納税ではフルーツなどの返礼品に人気がある。当日は漫画「3月のライオン」がパッケージになったお米やパンフレットが配られ、詰将棋や対局のサービスが行われていた。
中川さんは2021年3月まで株式会社リコー将棋部に所属し、小山怜央アマ(現四段)と同時期の退職となった。筆者は2人にとって最後の参加となった、リコー杯アマチュア将棋団体日本選手権の模様を取材した。大会を終えた直後、将棋部のメンバーに小山さんが「もし棋士になれたら、プロとしてリコー将棋部の合宿などに参加したい」といった内容の挨拶を、少し声を震わせて話していたのを覚えている。それから2年もたたないうちに棋士編入試験の受験資格を得て合格したのだから、相当な努力のほどがうかがえる。
中川さんは岩手高校出身。少し年下で、岩手県釜石市出身の小山四段を中学生から知っていたという。編入試験のことを聞くと「もちろん注目していました。人生最大の勝負が終わったところなので、ゆっくりしているかもしれない。フリークラスもいつか抜けると思います」とエールを送った。ふたりとも、それぞれの新天地で活躍していくだろう。
1日目の最後、第55局はチェスクロックの設定を戻し忘れて始めるハプニングがあった。指し直し局も佐藤の先手中飛車に糸谷の右玉になり、佐藤が密かに改良した序盤を披露するも糸谷が一気に攻め倒す。糸谷は5連勝で1日目を締めくくった。
壇上に姿を現したふたりは「いやぁ、疲れました」「最後のほうは頭が働かない」とやりきった表情を浮かべながら「でも、明日もあるんですよね」と笑って1日目が終わった。
総合→佐藤22勝、糸谷33勝
第5ブロックの勝敗→佐藤3勝、糸谷7勝
切れ勝ち→佐藤0回、糸谷2回
1日目の総手数→6597手
写真=小島渉
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