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 そして、そのような場合、反省するどころか逆ギレしたり、自己の正当化に走ってしまう人もいます。たとえば皆さんも、職場で年配の上司のミスを指摘したり、建設的な意見をしようとしたら、「失礼だ!」と逆ギレされた経験があるのではないでしょうか(もちろん、年齢を重ねても柔軟性を保ち、失敗を糧とすることのできる人もたくさんいますが、そうでない人も少なくないのが悲しいかな現実です)。

 異性との距離感がわからないまま暴走し、その結果、うまくいかなかったら自己を正当化してしまう。コロナ禍をきっかけに増加したスキンハンガーも、肌のぬくもりを求めて異性に空気の読めない絡み方をするようになり、悪循環を加速させていきます。

前頭葉の機能が低下することで言いたい放題に

 また、感情のコントロールを担う前頭葉の機能が低下すると、感情的になったり、相手の気持ちを考えない不適切な発言が止められなくなります。

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 “すけべオヤジ”“オヤジギャグ”という言葉もありますが、なぜ若い頃はあまり耳にしなかったようなどぎつい下ネタや寒いギャグを、中高年になると口にしてしまうのか? 皆さん、疑問に思ったことはあるかと思いますが、これも認知機能の低下が一因と考えられます。

 前頭葉の機能が活発な若い頃は、「さすがにこれを言ったらまずいな」と抑制が効いていた部分が、前頭葉の機能低下とともにそのまま発言してしまうようになります。たとえば、髪型や服装を変えてきた女性に「○○ちゃん、彼氏でもできた?」と絡んでしまう。これは、気になるコの興味を引きたくていじわるをしてしまう子どもそのものです。こうした言動も、大人になるにつれ、「そこまで親しくもないのにプライベートを詮索するのは野暮だな」と自分の中で抑制がきくようになり、適切な距離感を保てるようになるのですが、前頭葉の機能が低下すると、まるで赤ちゃん返りしたかのように言いたい放題になってしまいます。

異性との向き合い方も年齢とともにアップデート

 ほかにも、女性の腰回りを見て「元気な赤ちゃんが産めそうだね」と言ってみたり、カラオケの歌声を聞いて「夜もいい声出しそうだね」などと口にする中高年男性も驚くべきことに存在しています。その結果、周囲からは呆れられ、しかも、年齢を重ねているので誰からも注意されない。そして、本人はそのことに気づかないので、呆れられている原因がわからず、異性にしつこくつきまとったり、逆ギレするなどして、どんどん孤独を深めてしまいます。

 50代、60代ともなれば体も心も若い頃と同じではありませんから、異性との向き合い方も年齢とともにアップデートしていく必要があります。「熟年には熟年なりの異性との関わり方=熟年の愛の作法」があるのです。この「熟年の愛の作法」について、これまでは「もういい年なのだから自己責任で」と、誰もきちんと教えてはくれませんでした。しかし、健康寿命が70歳を超え、中高年も恋愛やセックスを楽しめるようになった今こそ、私たちに必要な教養であると言えるでしょう。