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 視野はおのずと狭くなり、人との「距離感」も見失いがちになります。そうなれば、他者と健全なコミュニケーションができなくなります。いわば「社会性の欠如」です。

60代で性生活を充実させている人は少なくない

 他人と関わる煩わしさがない自粛生活は、一見ストレスフリーのようにも思えますが、「ストレスがない=刺激がない」ということでもあります。特に中高年にとっては、身体機能や認知機能の低下、および客観性や社会性が失われるリスクをはらんだ好ましくない環境といえるでしょう。

 もちろんコロナ禍を通じてすべての中高年がスキンハンガーになり、社会性を欠いたわけではありません。

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 オンラインコミュニティで行った「あなたの人生最高のセックスはいつですか?」というアンケートでは、「60代が最多」との結果が得られたように、他者と円滑にコミュニケーションを図り、性生活を充実させている人は少なくありません。そして、中高年になってもセックスに前向きな人は、週に何度もセックスをしています(ときに複数のパートナーを含む)。私のクリニックのED外来にも、処方した量から計算するとバイアグラを2日に1回の割合で使用していると思われる60代後半の男性がいます。

 セックスの回数だけでは、その人がどんな相手とどのようなセックスをしているかまでは推し量れませんが、中高年においてセックスから疎遠になってしまう人とアクティブな人とで、「性の二極化」が起こっている現実があります。そしてこの傾向は、コロナ禍の強制的なコミュニケーションの遮断によって、より加速したように感じられます。

©AFLO

中高年が喪失しがちな「距離感」

 新しい刺激も出会いもないなかでは、多様な他者に触れる機会が減り、放っておくと社会性が失われていきます。特に人間関係における「距離感」は、一度見失うと厄介なものです。

 会話のなかで、踏み込んではいけない領域(いわゆる「地雷」)にずかずかと踏み込んで不快にさせてしまう、上から目線で説教をする、自分の優位性を示す「マウンティング」をする、といった行為も距離感を見失ったがゆえの言動です。いずれも相手は不快な思いを抱き、円滑なコミュニケーションが取れなくなってしまいます。

 人はコミュニケーションにおいて、「この人は、適切な距離感を保ってくれる」「一定の距離感を見誤らない」とわかっているからこそ、安心してコミュニケーションが取れます。しかし、その距離感が狂っている人には、一転して警戒心を抱きます。地雷を踏んだかと思えば、マウンティングし、果ては説教モードになる……当人は距離感が狂っているとの自覚がないケースが多く、悪気がないのがなおさら厄介です。

 この異性との距離感を見失った最たる例が、「ストーカー」です。