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浅草、日光、会津を結ぶゴールデンコースが東武特急の役目

 スペーシアXは1日最大4往復が設定されている。ただし、月曜、火曜、水曜は下り1号と5号、上り2号と6号の2往復は先代スペーシアの「けごん」が走る。時刻表を見ると、浅草駅の発車時刻について、3号、5号、7号はそれぞれ9時、13時、14時とジャストタイムに発車する。しかし1号だけは7時50分発だ。

「本当は8時ちょうどにしたいところですが、実は浅草発7時50分という微妙な設定は、下今市駅のSL大樹の発車時刻に合わせたからです」(池田氏)

 東武鉄道は日光の手前の下今市から鬼怒川温泉までSL列車を運行している。車両点検の都合で運行しない日やディーゼル機関車に交替する日もあるけれど、基本的には毎日の運行だ。スペーシアX1号とけごん7号の下今市着は9時30分。SL大樹1号の発車時刻は9時33分。同じプラットホームで対面乗り換えが可能だ。浅草から日光へ、あるいは鬼怒川のSLへ、SL列車も人気だけれど、スペーシアXで行けるとなれば魅力的だ。

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「これをやることによって日光がさらに活性化されると思います。当社にも大きな責任があると思いますし、地域とも連携して頑張っていきたい」(池田氏)

浅草、スカイツリー、日光、鬼怒川を結ぶ架け橋に

 日光だけではなく、浅草も訪日観光客に人気の観光地だ。東武特急は浅草と日光を結ぶゴールデンコースでもある。

「中部のゴールデンルート(昇龍道)のように、新たな関東の直通ルートになれるといいですね。SLとか野岩鉄道さんとか会津鉄道さんとか、もちろんJR東日本さんも連携して」

 ただ日光までを往復するだけではなくて、もっと広がりを持たせたい。その最初の列車、あるいは締めくくりの列車がスペーシアX、そして東武特急だ。

「スペーシアX」個室やプレミアムシートから先に予約が埋まっていく ©佐藤亘/文藝春秋

「インバウンド向けの商談では、東武グループが運営する東京スカイツリー®(駅名はとうきょうスカイツリー)に停めることを強調しています。日光、鬼怒川、そして“スカイツリー”と提案すると、あっ、そうか、って感じになるんです。

 帰るときに成田空港や羽田空港へ行く、その前にスカイツリーでお買い物なり展望なりして帰れるのかみたいな感じ。東武鉄道と日光鬼怒川と、スカイツリーまでつながる人が少ないので、浅草、スカイツリー、日光、鬼怒川を結ぶ、そういうキャッチコピーを作って、インバウンドの方に東武グループの施設や施策をしっかり発信していきます」(池田氏)

 スペーシアXは、東武鉄道が日光、鬼怒川に仕掛けてきたパズルの最後のピース、いや、新たなパズルの始まりともいえそうだ。