平本さんは著書『ジャニーズのすべて~少年愛の館~』(1996年)などを出版したが、「それまで残してきた足跡は何なのかというと、噂だったり、都市伝説だったり、そういったものでしかなかったというこの35年間」と振り返る。松原耕二キャスターが共感を寄せながら質問した。
松原キャスター 何が一番、つらかったですか?
平本淳也さん 最初から今でも続きますけども、この告発、告白においては、やはり当初は「こんなのありえない」「嘘だ」「お前は頭がおかしいだろう」「消えろ」など、言われたくない誹謗中傷が寄せられたこと。(中略)何よりもそれがつらい。そして当然、否定をされてきた。本当のことを言っても否定される。(中略)やめることもなく、また倒れることもなく続けてこられたのは本当に奇跡かなと思います。
TBS安住紳一郎アナウンサーが語ったこと
民放の中でも、ここ数カ月はジャニーズ性加害問題を積極的に報じてきたTBSだが、安住紳一郎アナウンサーがメインキャスターを務める土曜夜の「情報7daysニュースキャスター」ではジャニーズ性加害問題を扱ってもあまり時間をかけていない印象があった。例えば国連人権理事会の専門家が記者会見して大きく報道された翌日の8月5日も、わずか4分弱の扱いで出演者のコメントはなし。このテーマをあえて避けているようにも見えた。
TBSのニュース番組では「news23」の小川彩佳キャスターや「Nスタ」の井上貴博キャスターらのようにこの問題に言及してきた人もいる中で、安住アナ自身も再発防止特別チームの会見以前は、同じくメインキャスターを務める平日朝の情報番組「THE TIME,」や「情報7daysニュースキャスター」で、ジャニーズの性加害問題では真正面から「子どもの性被害」や「メディアの責任」について言及してこなかったように思う。
この問題を取り上げないわけにはいかない
ところが、9月2日(土)放送の「情報7daysニュースキャスター」ではこれまでにない10分間という長さでジャニーズの性加害問題を扱った。この1週間を振り返って、この問題を取り上げないわけにはいかない、という番組の姿勢のあらわれだろう。
安住アナも特別チームがテレビを含む「マスメディアの沈黙」を強く批判したことを受けて、「今回は調査報告書の中で『マスコミの沈黙』が大きな問題があったと指摘しています。特にテレビ局の報じ方がおよび腰だったというふうに指摘されています。放送局で働く一人として私も反省をするところですが……」とスタジオでコメントした。
コーナーの終盤で安住アナは、欧米で起きた教会の聖職者による性加害が告発されるようになった経緯をコメンテーターのピーター・ランダース氏(ウォール・ストリート・ジャーナル東京支局長)に尋ね、欧米でも「今世紀に入ってから本格的に摘発するということが出てきたわけですから(こうした問題は)日本に限った話ではない」というコメントからジャニーズの性加害問題を国際的な視野で考える必要があると気づかせる、ベテランならではの締めくくりだった。
国際的にも大きく注目されるジャニーズ事務所側の記者会見は、9月7日(木)にいよいよ行われる。ジャニーズの性加害問題で、被害者による告発を初期に行った北公次さんの後輩への思いは、新社長にも引き継がれるのだろうか。