「不正に資金を還流させた」と認定
週刊文春が岩本氏らの“疑惑のカネ”を報道したのは、2022年4月。同年7月からは文春オンラインで、側近らを交えた不透明なカネの流れを追及してきた。(#1、#2、#3、#18、週刊文春電子版「疑惑のダミー会社と女帝をつなぐ『第三の女』と白ベンツ」など)
岩本氏らは文春報道について“フェイクニュースである”と強弁。形ばかりの調査を行い、教職員に配布した文書で、このように主張していた。
「記事で指摘された点は違法・不当なものではないとのことであり、既に執筆した記者等に対して厳重に抗議しておりますが、今後然るべき法的措置を講じる所存です」(令和4年6月10日付)
疑惑の一つは、岩本氏が会長を兼任する同窓会の至誠会から、女子医大に職員を出向させたとして給与を架空請求していた疑いである。
岩本氏は、女子医大の副理事長に就任した翌2015年、人事課、経理課、購買・管財課、建築設計室を管理する「経営統括部」を新設して、自ら担当理事に就き経営の実権を握る。その経営統括部に至誠会から職員を出向させ、女子医大が給与を負担していた。だが、業務実態はほとんどなかった。
第三者委員会の調査によると、総額約2.5億円(2015年1月~2020年6月)の給与は、専用の管理口座にプールされて、2021年3月には岩本氏の側近X(報告書ではE)や、側近Y(同F)らに各1000万円が支給されていた。この疑惑について、第三者委員会では次のように認定している。
「岩本氏は、本法人の理事長(副理事長)と至誠会の代表理事を兼任するという立場を利用し、本法人経営統括部で勤務していた者に対して、 至誠会という自身が大きな影響力を及ぼしていた存在を道具として不正に資金を還流させたものと認められる」(調査報告書P54)