患者を守る若き女医の静かな怒り

 質疑応答では、一人の女子医大OGの医師が、こんな問いを投げかけた。

「私は循環器内科で 10 年目のスタッフです。赤ちゃんの頃に女子医大で先天性の心臓疾患手術を受けて、ずっとここに通って死ぬ時もここがいいという患者さんの主治医をしています。だから、あなた方に責任を問う必要がある。

 理事長のお金の問題だけじゃなく、この数年に女子医大の内部で起きたことについて、説明があまりに足らないというのが今の感想です」

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説明会に集まる女子医大の医療スタッフ

 これに岩本氏は相変わらずの持論を述べた。

「調査報告書では全部、ダメダメダメって書いてあるわけですよね。しかも推測で書いてあるとこもありまして。これを受け入れたら、特に学生さんたちが可哀想だ、という声も上がっております。(報告書を)全部のんだら、本当に女子医大ってどういう学校だって話になります」

「この数年、理事長と学長が代わってから、ポリクリ(医学生の臨床実習)に回ってくる学生は、『学校が楽しくない』と言っています。 学生が可哀想というのは、こっちの台詞ですよ。こんな混乱を招いて、学生に面と向かって説明したことはありますか」(前出・循環器内科の女医)

「学生に関して、私はよく分かりませんが……」(岩本氏)

 他人事のような回答に、会場からは失笑がもれる。この日も岩本氏は最後まで、辞任するとは明言しなかった。