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経営危機を招いた「高度医療に対する関心の薄さ」
現在、女子医大病院は病床稼働率が約5割と、危機的な経営が続く。
海外から専門医を招聘するなど、苦労の末に立ち上げた小児集中治療室(PICU)について、岩本氏は収益性や専門医の給与額を理由に、わずか半年で解体した。これが引き金となって、成人の集中治療室も機能停止となり、臓器移植がストップ。医療ミスによる死亡事故も発生するなど、医療安全の体制が崩壊してしまった。
第三者委員会は、岩本氏について「大学病院という高度医療機関において臨床に携わった経験も実績も乏しく、本病院がPICUなど高度医療施設を備えて、患者や地域医療に貢献しようとすることに対する理解も関心も薄かった」と指摘。
5日に行われた、女子医大の教職員に向けた説明会で、副委員長の竹内弁護士は次のように補足した。
「PICU について、医療安全の確立とか、中長期的な業績の向上、医療現場の士気向上よりも、目先の儲かる、儲からないという話に経営判断が間違ってしまった。
岩本氏がやってきた経営は、一言で言うと人件費のカット。それによって、現場が大きく疲弊した。人的資源を破壊し、組織の持続可能性を危機にさらす財務施策が、現在のような窮状に追い込んだものであり、経営責任は極めて重い」