コスプレイヤー、俳優として活動し、トレーニーとしてベストボディ・ジャパン2019日本大会ベスト4の成績も残す桃戸もも(27)。

 うつ病だった母を亡くしている彼女に、ヤングケアラーだった日々、バイトの最中に知らされた母の死などについて、話を聞いた。(全2回の2回目/1回目から続く)

コスプレイヤー、俳優として活動する桃戸ももさん ©文藝春秋/三宅史郎

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大学に入ってから、母親は5回以上自殺未遂をしていた

――お母さんは、リストカットをしたり、線路のそばに立っていたとのことですが、頻繁にそうした行動を?

桃戸もも(以下、桃戸) 自殺未遂は大学に入ってからで、5回以上あったんじゃないかな。リストカットのときは、家に帰ったら、そこらじゅう血だらけで「なんだ、これ」って驚いちゃって。そうしたら母が包丁で手首を切って、父が病院に連れて行ってたんですね。

 母はうつ病で病院に通っていたので、よく付き添っていたし、自分の会社と家が近いので母の様子を見にちょくちょく家に戻ってたんですよ。で、手首を切った状態の母を見つけて。

――桃戸さんも、お母さんの動向を注意していたのですか。

桃戸 様子を見るというか、母をひとりにできなかったんです。私や父がいないと、家出しちゃうし、死のうとするので。

――目の前で、なにかするということは。

桃戸 私の前ではなかったです。ひとりのときに死のうとするんです。

 

母は料理ができなくなってしまった

――家事もできなくなったと、おっしゃってましたが。

桃戸 ご飯を食べたり、お風呂に入ったり、自分のことはできるんですけど、料理とかはできなくて。だから、父が買ってきてましたね。私が作ってもよかったんですけど、それによって母が「私は必要ないんだ」って考えて自分を責めちゃうので、毎週何曜日にはこれにするって献立を決めて作ってもらうようにしてました。

 私たちが食べられなくて困るのではなくて、母が自分でなにかをできるんだって感じてもらわないといけなかったんですね。