――その後、バイト先の先輩に筋トレを勧められたそうですね。
桃戸 そうです。塾講師を辞めて、新橋の飲み屋さんでバイトしてて。そこで先輩から「背が高いから、ベストボディ・ジャパンって大会に出てみたら」と言われて、筋トレを始めました。
太っちゃってたからダイエットしたかったし、これといった趣味もなかったんで。「じゃあ、筋トレやってみるか」って。やってみたら、みるみるハマっちゃって、大会にも出てしまったという感じです。
――筋トレで体が絞れていったわけですけども、周囲から体重の増減を心配されたり、なにかあったのではないかと勘ぐられたりは。
桃戸 痩せ出したときは言われましたね。ただ、インスタとかでジムでトレーニングしてる写真を載せてたんで、心配もされずに。インスタを見てた子たちは「一体なにを目指してるんだ、こいつは?」って思ってたんじゃないですかね(笑)。
母の死後、情緒も不安定になってしまった
――体重増以外に、なにか生じたものはありましたか。
桃戸 自分の情緒も不安定になっていきましたね。なんか、そういうときってものすごく恋愛体質になりますよね。
――どっちかというと、依存するような。
桃戸 そう、そう。よく考えたら、ぜんぜん好きじゃなかったのに付き合ってたなとか。それに気づいて、相手に失礼なことしたなって凹んだりして。
――お母さんのことを周囲に相談しましたか。
桃戸 付き合ってた恋人には話したんですけど、「重い」って言われてフラれました(笑)。「しばらく考えたんだけど、やっぱり重いから自分には支えきれない」って。
まず、フラれたことがショックで「悲しいな」と思ってたんですけど、あとになってよくよく考えてみたら、「あいつ、クソだな」って腹が立ってきて(笑)。本気でそう思っていても、ほかになにか言い方があるだろうと。でも「ああ、こういうことでフラれるんだな」と悟りましたけどね。
亡くなってからは、友だちにも話しましたね。こういう話って、されたところで何も言えないというか、「そうなんだ」としか答えようがないというか。なので、小中高と一緒だった子とか、家族ぐるみで仲良かった子と、ほんとに仲の良い友だちには伝えました。