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深刻な神奈川県の“統一教会汚染”

 小川県議が告発した背景には、政策面に与える影響への懸念も大きかった。山際氏は2022年10月28日まで6年強にわたり自民党川崎市連の会長を務めていたが、山際会長時代の2016年4月に市連が開催した勉強会には、家庭教育支援法の制定運動を行う国際勝共連合の幹部・青津和代氏が講師として招かれていた。

「処分を受けても信念は揺るがない」と語った小川久仁子・神奈川県議 ©文藝春秋

 続く2018年1月から3月、神奈川県下の複数の市議会、町議会、村議会に「家庭教育支援法の制定を求める意見書提出に関する陳情」が提出された。陳情者は「家庭教育を推進する神奈川県民の会」の近藤正栄代表。神奈川大学名誉教授の近藤氏は、統一教会フロント団体・世界平和教授アカデミーのメンバーでもある。そして、同会事務局の武者宗悦氏は、国際勝共連合神奈川県本部の代表者である。

 つまり、国際勝共連合がフロント団体を使って意見書を各地方議会へ提出しているのだ。神奈川県内で同県民の会による陳情が提出された自治体は、確認できたものだけで、川崎市、小田原市、秦野市、綾瀬市、藤沢市、座間市、伊勢原市、茅ヶ崎市、逗子市、厚木市、山北町、葉山町、愛川町、二宮町、大磯町、清川村と多数の自治体に上る。このうち可決されたのは川崎市、藤沢市、厚木市などで、否決・不採択は伊勢原市や葉山町など。逗子市では陳情は了承されたものの、自民党市議団が提出した意見書案は否決されている。

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 2018年3月には、川崎市議会本会議で自民党と公明党の議員団が共同提案した「家庭教育支援法の制定を求める意見書案」が可決されている。川崎市議団が主導して作成した意見書と、前述した「家庭教育を推進する神奈川県民の会」が同県下の多くの市町村議会に出した「家庭教育支援法の制定を求める意見書提出に関する陳情」は、「である調」と「です・ます調」の違いを除くと、まったく同じ文面である。山際事務所だけでなく、山際氏率いる自民党川崎市連と統一教会が、緊密に連携している疑いも濃厚なのだ。