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しかし、大学4年生の時に、有名な経営者が主宰するビジネスサークルに入って気が変わった。1年間、友人とともにうまくいけば合法的に、スピーディーに、大金が手に入るビジネスモデルを学ぶ。そこで手ごたえを得て、大学卒業後、その友人と化粧品販売会社を立ち上げた。「早く儲けたい」一心だった。

サークルで教わった通りにビジネスを始めると、あっという間に大金が転がり込んだ。起業して3カ月で月収が150万円に達し、毎日のように大阪のミナミで飲み歩いた。しかし、爆速で稼いでいた若者グループが失速するのも早かった。組織が大きくなると、末端まで目が届かなくなる。一度、狂った歯車を軌道修正することができず、2年も経たずに会社を畳むことになった。

いかにロイヤルカスタマーを作るか

髙田さんは次に携帯電話の販売代理店を始め、数カ月で驚くほどの契約を得る。通信会社から表彰されて、ハワイにも行った。ところが、髙田さんにとって「めっちゃ簡単」なビジネスは、通信会社側の事情で1年もせずに終息する。

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やることがなくなってブラブラしている時、髙田さんから大量に携帯電話を買い取っていた大手企業の幹部が「京都で独立するんやけど、一緒に来てやれへんか」と声をかけてきた。ふたつ返事で京都行きを決めた髙田さんが入社したのは、高級な和服、洋服、毛皮などを販売するアパレル企業。そこには驚異的な売り上げを誇る女性の本部長がいた。顧客に「崇拝されているように見えた」という本部長から、髙田さんは「お客さんを、いかにロイヤルカスタマーにするか」を教わった。

「例えば、本部長は相手の心を開くのが超得意なんですよ。初めて会った人がみんな、本部長を好きになる。なんでかなと思ったら、本部長が最初にお客さんのことを好きになってるんですよね。どんなお客さんにも、関心を持って話しかける。『あなた初めての人? その猫ちゃんのブローチどうしたの、ステキね』って。それで本部長のファンになった人たちに対して、AIDMAの法則(商品を認知してから購入に至るまでの過程)に従って科学的にアプローチすると、自ら喜んで本部長の勧める高額商品を買うようになるんです」