伊藤匠叡王に斎藤慎太郎八段が挑戦する第10期叡王戦五番勝負。フルセットとなった第5局は2025年6月14日、千葉県柏市「柏の葉カンファレンスセンター」で行われた。
相掛かりの対局は後手・伊藤の両桂跳ねが発火点となり、未知の局面へと突入していった。
終盤の攻防と勝敗の行方
斎藤が自陣角を打って伊藤の飛車と銀を攻撃、角を切って銀桂と交換した。さらに金で歩を払いながら飛車を攻める。指し手だけ見ると調子よく見え、最初は斎藤優勢の声が多かったが、調べてみると難しい。高見が「飛車を引いて意外と難しいですね」と解説する。受け将棋の伊藤だから、ここは飛車を引くだろうと皆が見ていたが、なんと伊藤は飛車を銀と刺し違えた!
佐々木が「えっ!」と驚く。伊藤は角を打ち込み、飛車取りに馬を作るが、斎藤は銀を打って受け、▲7一飛と、手にした飛車を敵陣深くに打ち込んだ。こうなると先手に分があるように見える。
飛車を打たれ、伊藤が動かなくなった。意外な進行に驚きながらも皆が考え込む。銀を打って受けるのはどうか。攻め合いはどうか。解説中も、休憩中も、皆で検討しているが、どうも後手は芳しくない。「伊藤さんに何か誤算があったのでは」と高見。




