JR東日本は2025年6月、「新たな夜行特急列車を導入します~運行を通じて地域の皆さまと新たな観光需要を創出します~」と発表した。

 すでに各メディアで報道されているので簡単に概要を記すと、「2027年春から首都圏~北東北方面などへ夜行特急を走らせる」、「E657系特急電車1編成を改造する」、「夜行という非日常体験」を楽しんでいただく、「JR東日本エリアの豊かな自然や文化を国内外に発信し、観光の活性化を目指す」とある。

2027年春にデビュー予定の「新しい夜行特急列車」(JR東日本報道資料より)

 補足すると、E657系特急電車は、現在、常磐線の特急電車「ひたち」「ときわ」として品川と水戸、いわきなどを結んでいる。わずかながら品川~仙台という長距離運用もあり、約360キロを5時間弱で走る。

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10両編成で5号車はラウンジ車両。飲料と軽食の自販機を検討中だが食堂車はない(JR東日本報道資料より)

 さすがに乗り通す人は東北新幹線を使うと思うけれども、その乗車時間を快適に過ごせる性能と装備を持っている。エアサスペンションで上下動を和らげ、台車には左右の揺れを抑える装置のヨーダンパも搭載している。

塗装はかつての寝台特急「ブルートレイン」を受け継ぐ明るい青「メモリアルブルー」と真夜中から夜明けに向かう濃紺「ミッドナイトホライズン」で塗り分ける。色の境目の白いラインは夜明け前の一瞬の輝きをイメージしたという(JR東日本報道資料より)

 こうした装備は近年のJR東日本の在来線特急車両として標準的となっているけれども、E657系の特徴は「交直両用仕様」だ。首都圏で採用されている直流電化区間と、東北地方で採用されている交流電化区間の両方を走行できる。残念ながら、トンネルの高さ制限がある中央本線や、ミニ新幹線化された山形新幹線区間は走行できないけれども、東北地方の電化区間を網羅できる電車だ。