大人気エッセー集『師匠はつらいよ』藤井七冠の感想は?
――最後に、エッセーの感想を聞きましょう。藤井聡太さんから連載の感想はありましたか?
杉本 タレントの「欽ちゃん」こと萩本欽一さんの前で、「本当につらいことが書いてある」と話していましたね。東海テレビさんで2024年正月に放映された番組(※「東海テレビ開局65周年記念 新春スペシャル 藤井聡太 21才」)に、私と藤井くん、室田伊緒女流三段と一緒に出演したんです。
そのときに私が『師匠はつらいよ』の第1巻を渡すと、藤井がそんな感想をいっていました。どの箇所の話なのかはわからない。そもそも、面白かったもいってない気がするんですが(笑)。
――藤井さん自身の話もあるので、照れ臭いかもしれません。
杉本 藤井七冠のことを知りたい方は本当に多い。本人が気にしそうなことは、事前に確認します。思わぬところで「この表現は違いますね」と指摘されたり、自分がかなり気を使った部分はさらっと流されることがある。感性が違うなと思いますね。
将棋を知らなくても楽しめる本
――藤井聡太さんのチェックも入っていると思うと、より文章が味わい深いです。深浦九段の感想もお願いします。
深浦 自分は地元の長崎新聞に2ヶ月に1回、エッセーを書いています。それに比べて杉本さんは毎週、しかも本にするにはコラムが100回必要らしいので、すごく大変なことです。
藤井聡太さんのネタはもちろんのこと、時事ネタも結構多く、杉本さん自身の経験をうまく絡めて読み応えのある本です。自分も弟子を持つ立場として、師匠はこうあるべき、杉本さんを真似できないけどこれは参考にしようとか、楽しみながら考えさせられた。
杉本 そういっていただけるのは、執筆者として誇りに思います。でも、同業者に見られるのはちょっと照れ臭い(笑)。
――100回目のコラム(第1巻の最後)を拝読しても、ネタには困っていないそうですね。
杉本 まだまだありますよ。週刊誌は将棋ファン以外の方も読者に多くいらっしゃるので、将棋を知らなくてもわかるように書いています。ぜひ将棋界のことを一般の人に知ってもらい、楽しんでいただけたらありがたいですね。
撮影=杉山秀樹
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