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結婚する男性は長生き、不倫する男性は早死に

 視点を変えて、結婚するのとしないのとでは、どちらが長生きできるかを見てみましょう。

 国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」には「性、配偶関係別20歳時及び40歳時平均余命」の調査があります(1955年~95年までのデータのみ)。これは未婚、有配偶(既婚)、死別、離別に分かれていますが、いちばん新しい95年のデータを見ると、20歳時点でも40歳時点でも、男女ともに配偶者がいる場合の平均余命がもっとも長いことがわかります。

 40歳時点での余命を比較すると、男性の場合は未婚では30.42年、有配偶では39.06年、死別では34.95年、離別では28.72年となっています。

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 女性の場合は未婚37.18年、有配偶45.28年、死別43.32年、離別40.49年です。

国立社会保険・人口問題研究所「人口統計資料集」より

 男性の方が、伴侶を失ったあとの平均余命の短くなる度合いが大きく出ています。

 この傾向は日本だけではないようで、2012年に行われたアメリカのロチェスター工科大学の研究では、「妻を亡くした男性は、平均よりも早死にする可能性が30%高い」という結果が出ています。

 また、東京大学大学院・近藤尚己准教授がハーバード大学の大学院生と行った研究でも、男女ともにパートナーに先立たれると早く死亡してしまう傾向があるとしています。ただし、男女に分けて調べると、男性の場合は死亡リスクが23%の増加だったのに対して、女性はわずか4%の増加にとどまる──やはり女性の方がパートナーが亡くなってもダメージが少ないということがわかっています。

 第3章でご紹介したハリー・ハーロウやフリードリヒ2世の実験でもわかるとおり、人間は免疫機能を十分に発揮するためにも他者とのふれあいが必要なのです。