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連載世界経済の革命児

グーグル元副社長はホワイトハウスで何を実現したかったのか

メーガン・スミス (米国チーフ・テクノロジー・オフィサー)

2017/01/05

source : 文藝春秋 2017年1月号

genre : ニュース, 経済, 国際

「技術者というバックグラウンドもあるが、テクノロジーの本質をつかむことに長けている。一を聞いて十を知る典型的なタイプ」。グーグル日本法人の村上憲郎(のりお)前名誉会長は、スミスの力量をこう評価する。

 二〇一六年二月、村上の元にスミスから「ついにやったわ」と興奮気味のメールが届いた。

「コンピューター・サイエンス・フォー・オール(CSforAll)」

 幼稚園から高校まで、全米のすべての学校にパソコンやタブレット端末を置き「デジタル経済の中で創造的な力を発揮できるだけのスキルを身につけさせる」という、オバマ政権による壮大なプロジェクトだ。

 メールは、それがついに始まることを伝えていた。彼女のホワイトハウスでの最大の仕事かもしれない。

「コンピューターのプログラミングを(読み書きそろばんのような)『ベーシック・スキル』にすべきだ」と唱えるスミスは、CTO就任からずっとSTEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学)教育の重要性を説いてきた。

 スミスはこう語っている。

「私は子供のころ、地方の公立学校で素晴らしい先生に出会い、STEMの面白さに目覚めました。革新的な技術に触れることで、自信を手に入れ、コンピューター・サイエンスには世界を今より良い場所にする力があると信じることができました。(CSforAllで教育を受ける子供達は)米国をより創造的な国にし、問題を解決し、大きな経済的成果を生み出すことでしょう」

 スミスは「ウーマン2・0」(新興テクノロジー企業を起業する、直観、情報、知識のある女性の数を増やす運動)にも関わっており「STEM教育は、コンピューター・サイエンス分野における男女格差を埋めることにつながる」と主張している。

 今回の米大統領選でヒラリー・クリントンが勝っていれば、米国初の女性大統領をスミスがCTOとして支える構図になったかもしれない。そのシナリオはお預けになったが、「スティーブ・ジョブズ並の女性起業家を生み出す」という夢の実現に向かって前進し続けている。

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