※2 アメリカの人気司会者スティーブン・コルベアがコメディ番組のネタとして紹介した。“Meanwhile…… The 5D Porn Cinema No One Asked For,” The Late Show with Stephen Colbert (April 5, 2019).
「娼婦博物館」が教える正しい楽しみ方
娼婦博物館は、赤線地帯の歴史について教育する施設である。なお、「娼婦」という言葉は差別的に受け止められることもあるが、本書では同館の用法に従い、この表現を使用する。また、「セックスワーカー」は、より中立的で社会的に望ましい(ポリティカル・コレクトネスに適合する)代替語として広く用いられており、これも同様の意味で用いる。
このミュージアムの入り口は、通りに面した全面ガラス張りの部屋、いわゆる「飾り窓(ウィンドウ)」を使ったインスタレーションで構成されている。普段娼婦が「展示されている」小部屋は展示室となっている。チケットを購入し、等身大のスクリーンに映し出されたウィンドウを模したゲートをくぐると、展示空間へと入っていくことになる。
展示は、まずシアターで上映されるショートムービーから始まる。この映像は、赤線地帯でのセックスツーリズムの典型的な一日をモデルにした観光ガイド的な内容で、訪問者がどのようにこの街を“正しく”楽しむべきかを示している。筆者が泊まったまさにそのホテルで撮影されていて驚いた。
セックスツーリズムのハウツー映画
映画は、主人公が午後に目を覚ますシーンからスタートする。
【12時27分 赤線地帯】シャワーを浴びて体を清潔にする。朝食を取る。
【1時45分 理髪店】髪や髭を整えて出逢いに備える。
【3時12分 ポルノトイショップ】ぶらぶらしながら見かけた女性をナンパする。
【4時58分 人気バー】女性とバッタリ再会し、再びちょっかいを出すも振られる。コメディタッチ。
【8時24分 ストリップバー】バーで飲みながら“チェックする”。
【12時14分 ピープショー】覗き見を楽しむ。
【1時23分 別のストリップバー】ここでディナーも楽しむ。店を出るとまたお昼の女性に出会うがナンパに失敗する。
【2時14分 ライブセックスショーバー】また別のショーを見ながら一杯。
【2時43分 赤線地帯でハッピーエンド】性交渉・性行為のバーチャル映像で映画は終わる。