「もうすぐ30歳だよ。このままだと終わるぞ」
この収録は、リモートでそれぞれの自宅から行った。まだ昼前だったが、すでにその日の仕事を終えたという竹内君は、「藤井さんとも久しぶりなんで、せっかくだし飲みながらやっていいですか?」と、缶チューハイを片手に話をしてくれていた。
そしてやっくんの話になると少しだけ飲むペースが上がり、2本目の缶を開けていた。おそらく、芸人時代を共に過ごした僕との会話のなかで、やっくんに対するいろんな想いが込み上げてきたのかもしれない。
竹内 そのふたりで飲み行ったときが28歳だったんですけど、ふたりともめちゃめちゃ焦ってて。「もうすぐ30歳だよ。このままだと終わるぞ」って。
――いまでこそ30代、40代から売れる芸人なんて普通にいるし、なんなら50歳を超えてメジャーになってなくても辞めずに続ける芸人も増えたけど、当時は「30歳までに売れなかったら辞めなきゃいけない」みたいな芸人内の空気があったから。
竹内 そうなんですよ。しかもうちらは23歳で始めたので。いまでこそ学生芸人とかを経験して、大学を出てから始める芸人も増えましたけど、当時の周りの芸人は高卒の18歳から始めてる人が多くて。僕らはスタートが遅ければスタートダッシュもできてなかったし、ネタのストックもぜんぜんなかったりで、正直、ふたりとも芸人でやっていくのに不安を感じてたんでしょうね。
そもそもお互い個人個人で芸能界を目指してたふたりなんで、「もしいま、芸人じゃなかったら何をやりたい?」っていう話になったんですよ。「この際だから、せーの! で言い合おうぜ」って。
正直に言うと、僕はそのとき、声優の仕事が調子よくて。レギュラーもいっぱいあって楽しかったので「声優」って言ったんです。そしたらやっくんは「ピン芸人」って言って。「ピン芸人で可能性を試してみたい」と。それでお互い「おっ?」てなって。実はやっくん、そのとき怒ってたんです。僕の声優の仕事で、「あばれヌンチャク」としてのスケジュールを崩すことが結構あったから。それでやっくんが「コンビと声優、どっちが大事なんだよ!」って、たまに怒ってたんですよ。なんかかわいくないですか? 俺めっちゃ嬉しかったんですよ。なんか彼女みたいじゃないですか。
――いや、相方がそうやって別で稼働してるときは、自分の収入もないわけだから。切実な部分もあったと思うよ。
竹内 確かにそうなんですよね。それで、そんな話の流れになったので「だったら解散しようか」ってなって。
――えっ?
