戦時下のウクライナにも
――旧ソ連では、ウクライナにも入国されていますよね。
照井 2024年の2月ですね。
――既にロシアの全面侵攻が始まっている時期ですね。一応交戦国ではないベラルーシは分かるんですが、戦争中のウクライナの方がハードルもリスクも高いと思います。それでもなぜ行かれたのですか?
照井 別にジャーナリストでもないですけど、ウクライナの実情がどんなものか気になったのと、SNSとかで実際にウクライナに渡航されている方がいたので、「意外と渡航することは可能なんだ」と思いまして(※)。
隣国のポーランドから鉄道切符を買って、国境で突っぱねられるかと思っていたら入国できたので、興味のある路面電車を見てみようと思いました。もともと2、3日の予定だったんですけど、1週間ぐらいに延ばして、東部にある戦地は避けつつ、行けるとこまで行ってみようと思いました。無事出国できたし、何もありませんでしたね。
――では、行かれたのはリヴィウ(ウクライナ西部の都市)のあたりですか。
照井 キーウ、ハルキウまで行きました。
――え。ハルキウって、だいぶ東部じゃないですか……。ウクライナは戦時中なので、鉄道を撮るのはリスクが高くないですか?
照井 なので、(軍事上の輸送インフラでもある)ウクライナ国鉄はほとんど撮影せずに、町の路面電車を撮っていました。
自分を守れなかった理由
――市街の路面電車ならリスクは少なさそうですね。リスクと言えば、現地の警察対策に普段使いのiPhoneとは別にAndroid端末を用意して、人目につかない場所で撮影をしてはマイクロSDカードを読み込んでクラウドにバックアップしていたそうですね。そうした用意周到さの一方で、自分はスパイと思われない、逮捕されないと確信しているのが不思議に思いました。なんというか、撮影データはリスクを考慮して守っているのに、自分は守れてないチグハグさを感じたというか。こうした点について、どう思われますか?
照井 そもそも、旧ソ連は鉄道の撮影が法律で禁止されているわけではないんです。ソ連時代に禁止されていた名残で、あまり良くない顔をされるし、警察からも注意されることが多い。ベラルーシに限らず、カザフスタンとかでも撮影していたら、警察に「写真を見せなさい」、「写真を消せ」みたいな事はあるんです。別に何もなかったら「行っていいよ」とか、職質されたら2、3時間ほど時間取られるから気をつけましょうみたいなのがSNSとかの撮り鉄体験談であって。ベラルーシでの例は聞いたことがなかったんですけど、旧ソ連だから同じようなものかなと思ったんです。
だから、捕まっても同じようなものかなと思って、実際に職質された瞬間はそこまで恐怖心はなくて、2、3時間潰れちゃうなみたいな感覚でした。

