「捕まっちゃいました!」

 それから30分。車両がぼんやりと見えた。カメラを再び構える。

〈ЧМЭ3〉という車両だろうか。旅客車両ではなく、業務用のイメージが強い。本来なら数両編成のはずが、なぜか1両だけだった。好みのフォルムではなく、たった1両だけのためにリスクを冒すのはコスパが悪い。私はカメラを隠し、通行人のふりをしてやり過ごそうとした。

 おかしい。〈ЧМЭ3〉が、私の目の前で停車した。

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拘束直前に撮影した列車(2024年12月1日)(『ベラルーシ獄中留学記』より)

 すぐにオレンジ色のゼッケンをつけた鉄道関係者が降りてきた。私に向かって、しきりに何か言っている。「撮影はダメだ」ということだろうか。関係者の話を聞いているうちに、どこからともなく警官が現れ、停留所に誘導される。

 そこには、白と青のカラーリングのパトカーが止まっていた。

 面倒なことになったと感じたが、どこかで楽観視していた。私はただの旅行者にすぎない。簡単な注意を受けるか、少しの間、取り調べを受けるくらいだろう。Android端末を使い、敬愛する撮り鉄仲間の佐藤さんに〈捕まっちゃいました! すぐ撤退すべきでしたね〉とXのDMで報告。彼とは日常的に連絡を取っていた。iPhoneは真っ先に確認されると思ったので、面倒になりそうなGooglePhotosやXのアプリはこの段階で削除した。

警官の1人が「鉄道の撮影が禁じられています」

 警官の1人がスマホを見せてきた。画面には、Google翻訳によって日本語に訳された言葉が表示されていた。

「ここは鉄道の撮影が禁じられています」

 私もGoogle翻訳を用いて、こう返した。

「私はこの国で鉄道を撮影することを禁止する法律はないと聞いていました。どの法律の何条に書かれているのか、お教えいただけませんか?」

 警官が再びスマホを見せる。

「隣国の戦争のせいで」