宇宙飛行士たちは、ふだんどんな生活をしているのか。例えば地球とは異なる無重力下で、トイレはどのように済ませているのだろうか。宇元宇宙飛行士・野口聡一さんの新著『宇宙でラーメンは食べられるか 宇宙暮らしのロマンと現実』(幻冬舎)から、一部抜粋してお届けする。

元宇宙飛行士の野口聡一さんが明かす、宇宙のトイレ事情とは? 写真は体力トレーニング中の野口さん(書籍より、以下同)

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尿は煮沸して飲料水に……知られざる「宇宙のトイレ事情」とは?

 海外でトイレの使い方がわからず、とまどった経験はありませんか? 

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 トイレットペーパーを流せなかったり、そもそもトイレットペーパーがなかったり、ヨーロッパでは便座がないタイプも少なくありません。

 宇宙に行ったらさらに困惑するはずです。無重力状態では、あらゆるものが重力から解放されてふわふわと空中にただよいます。尿や便ももれなく浮遊します。そのような状態で地上と同じように用を足したら……? 大惨事になるのは容易に想像できるでしょう。

 そこでここでは、みなさんが宇宙で困らないよう、ISSを例に宇宙トイレの使い方を解説します。

ISSにはトイレが3つある

 ISSには現在、3つのトイレがあります。ロシア区画に1つ、アメリカ区画に2つです。いずれも吸引式で、トイレ内には便器と小便吸引カップが備えつけられています。

 小便をするときは小便吸引カップを使います。まず、カップをすきまがないようにぴったりと当てます。次に、スイッチをオンにして吸引装置を稼働。すると、尿は空気とともに吸い込まれ、カップにつながっているホースをとおって、遠心分離機で空気と液体に分離されたあとに、液体は尿タンクへと送られます。空気のほうはエア・フィルターを通して不純物をとり除いたあとに、また居室空間へと戻されます。

 尿は煮沸消毒したあと、飲料水としてリサイクルされます。この尿を飲料水にリサイクルするシステムが導入されてから、ISSでは99%の水がリサイクルできるようになりました。スペースシャトル時代までは尿はすべて宇宙空間に放出していたことを考えると、とてもエコな施設になったといえます。