チームの捜査プロセスを確立した事件

 しかし、第2世代のプロファイラーとしてジャド・レイが行動科学課に加わって、ようやく変化が訪れた。彼はチーム初の黒人捜査官で、私たちはすぐに仲間になった。ジャドは、行動科学課はぬるま湯に浸かっていてはだめだと主張し、人口統計上の狭い範囲に収まらない犯人たちのプロファイリングに取り組む大切さに同意した。あとはそれを証明するだけだ。

 犯人がどんなに思いがけない人物であろうと、捜査プロセスに新風を吹きこむ私たちのテクニックがみごとに暴く、そんな事件が必要だった。それは、1984年のある午後、ロン・ウォーカー捜査官のデスクに降臨した。

 翌朝早く、ウォーカーを主任プロファイラーとして、私を含む6人――私はレイをそこに入れるよう事前に手配した ――が“核シェルター”に集まった。私たちが到着したとき、すでに準備は整っていた。そして、事件の概要を理解する時間を少しもらったあと、私は普段とは違うやり方でこのミーティングを進めることに決めた。プロファイリングそのものと同様、事件の細部にも目を配りたいと思った。

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 捜査官はそれぞれ、自分なりの長所を活かしてプロファイリングに臨むことはわかっていたが、そうした捜査官ごとの違いが結果にどう影響するか、これまで考えたことがなかった。この点は重要だった。捜査官の質問方法、情報処理の仕方、事件を自分の得意分野に持ちこもうとする姿勢を見ていると、方法論としてのプロファイリングへの理解が深まった。言い換えると、各捜査官が事件をどう見るかが、プロファイリング・セッションを動かす重要要素だということだ。

 各捜査官の作業の様子を観察していると、セッションの議題に対する彼らのアプローチや分析方法がだんだんわかってくる。捜査官自身が、プロファイリングの全体図の中で考慮するべきデータの1つなのだ。

「これはチームにとっては初めてのケースとなるかもしれない」

 ウォーカーが言い、今後の参照のために会話を録音するべく、テープレコーダーの録音ボタンを押した。

「犯行を目撃した者がいる。どうやらアンサブは女性らしい」

 彼はそれから照明を消し、プロジェクターを遠くの壁に向けた。

◆◆◆

 プロジェクターの光が浮かび上がらせたのは、誰も予想だにしなかった「女性」による残酷な凶行。チームが挑むことになった前代未聞の惨劇は、こうして幕を開ける。

次の記事に続く 「これらの写真から、刺創の1か所は肝臓を深く傷つけているのがわかる」車のトランクに残された“真っ赤な手のひらの跡”…15歳の少女が刺殺された「スクールカースト殺人事件」の全容に迫る《1984年・カリフォルニア》