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「痩せこけた全裸の収容者」の撮影に成功
大森は疑念を抱きつついったん大阪に戻り、新聞各社のバックナンバーを丹念に調べる。と、「岡田更生館からの脱走者が警察に内情を報告したところ、証拠が見つからず否定された」とする福岡県大牟田署が行った調査を報じた三行記事が見つかった。
また、現地に残っていたカメラマンの向井が復員兵に扮し、レインコートに小型のカメラや望遠レンズを隠しながら夜間に撮影を続けた結果、あばら骨の輪郭が見えるほど痩せこけた全裸の収容者を写真に収めることに成功。
さらに施設の裏手に住む農家の住人から「岡田更生館が裏山で浮浪者を焼いている」との証言や、「岡田更生館が提出していた死亡届の数と寺に納骨されていた骨壺の数が合わない」などの情報が得られる。
北川の話は真実に違いない。確信した大森は決定的な証拠を掴むため、行動力に定評のある部下の小西健吉記者とともに浮浪者に扮して施設内部で潜入取材を実施したいと要求する。しかし、この提案を聞いた本社上層部は「あまりに危険が高い」と猛反対。
そこで、大森が信頼のおける先輩記者の北畑に相談したところ、熱意に心を打たれた北畑は「本社の意向に背いても潜入を敢行して良い。全ての責任は自分が取る」と後押しし、これを受けて大森と小西は岡田更生館へ潜入する決意を固めた。