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上級医は手元のお茶のペットボトルを私に向けて投げつけた。私の胸元に当たったペットボトルが床に転がった。
「はい、すみません」
黒子である研修医に許されるのは謝罪だけだ。ほかの医局員たちは押し黙り、嵐が通りすぎるのを待つ。
術中はひたすら鈎引と吸引。手術が終われば、術後の傷の処置や術後合併症に対応する。一つでもミスがあれば、怒鳴られ、時に蹴りが飛んでくる。
手術をした患者に合併症が起きた際、対応するのも下っ端だった。T病院では、手術した患者に問題があれば、夜間や休日であっても執刀医が患者のもとに駆けつけていた。しかし、ここでは尻拭いは研修医の役目だった。
やる気が下がるにつれてミスを連発、そして⋯
大人数での行動が苦手な私は、大学病院における大所帯での生活にも戸惑った。
U大学病院には後期研修医だけでも15人が所属しており、朝から晩まで集団行動が要求された。1人でも遅れたり、間違った行動をすると、連帯責任で全員が𠮟責される。『白い巨塔』でお馴染みの教授回診や、何十人もの医師が集って激論を交わすカンファレンスの前は、緊張でいつも胃が喉元までせり上がってきた。
成長を感じられる充実感に満ちたT病院から、雑用と謝罪だけのU大学病院へ。
このギャップが苦しく、自分がみじめに思えてくる。
U大学病院に勤めて半年がすぎると、仕事へのやる気が減っていくのにつれて、私はたびたびミスを犯し、上級医に怒られることが多くなった。