自室で昏睡状態に陥っていた優秀な同期・杉ちゃん。彼女が抱えていたあまりに深い闇を知り、著者は「うつは甘え」という自身の偏見を恥じる。
その後、後期研修で外科医となった著者だったが、転籍した大学病院で過酷なパワハラと雑務に追われ、心身ともに追い詰められていく。
精神科医・駒木爽氏の新刊『精神科医おどおど日記——閉鎖病棟24時、本日当直、あらゆる精神疾患寝ずに診ます』(三五館シンシャ)より一部抜粋してお届けする。なお、プライバシー保護のため登場人物の名前は仮名、一部のエピソードに脚色を加えている。(全2回の2回目/最初から読む)
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彼女に診断された病名は⋯
その日の午後、まったく音沙汰のないことを心配した上司たちが研修医寮を訪れると、杉ちゃんは自室で気を失っていた。上司は杉ちゃんをすぐさま研修病院の救急科に搬送した。
杉ちゃんは自室で大量の睡眠薬を飲んで昏睡状態に陥っていたという。意識が回復後、精神科医との面談の結果、彼女は「うつ状態」と診断され、すぐさま休職に入ることになった。
周囲からの期待に応えなければという責任感に囚われていた彼女はずいぶん前から夜眠れず、ネットで入手した睡眠薬を服用しながら勤務を続けていたという。
しかし、病棟での緊張感が24時間抜けなくなり、睡眠薬を飲んでも眠れなくなった。心も体も限界に来たのだ。それでも「自分がやらなければ」という責任感から勤務を続けていたが、ある日、頭の中に靄がかかって集中ができなくなり、まとまらない思考の中、苦痛から逃れるように睡眠薬を多量に飲んでしまったという。
循環器内科の上司や、周囲の同僚、研修医の同期たちは誰も彼女の変化に気づけなかった。私もそのひとりだった。同期がそれほどまで追い詰められていたことに思い至れなかった自分が情けなかった。
