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「使えねーな。よく医師免許取れたね」
術前・術後検査の漏れや、カンファレンスでの予習不足、術後合併症の対応遅れ……ミスをすると焦り、頭の中が混乱し、それがさらなるミスにつながった。
私は上級医から目をつけられるようになった。
「使えねーな。よく医師免許取れたね」「キミが医者になったら、患者が可哀そうだ」「空気は吸っていいから邪魔だけはすんなよ」
ミスの多い私は、医局において“何を言っても許される存在”になっていた。
ただ罵倒され、揶揄され、嘲笑される日が続いた。
T病院では毎日残って勉強していた手術もどうでもよくなっていた。朝、病院に出勤した瞬間から、一刻も早く自室に帰って休みたいと考えるようになった。
「もうやめたい」頭の中でそんな思いが渦を巻いた。U大学病院の同期たちともなじめず、相談する相手もいなかった。
「この環境でがんばるのはもう無理だ」
そう感じた私は後期研修医2年目の後半、外科をやめる決断を下した。
指導担当の大学教授との面談で、自らの意思を伝えた。
「後期研修もあと少しだろ。せっかくここまでやってきて、こんな時期にやめるのはもったいなくないか?」
教授はそう言って慰留してくれたが、私の決意は揺るがなかった。もうこの場所にいることに耐えられなかったし、外科医になりたいという気持ちも消え失せていた。
こうして私はあっさりと外科をやめた。ゲームで「逃げる」のコマンドを押すように。