そして、車は軽ワゴンとは逆方向、つまり北から南方向に交差点に進入した青いごみ収集車と出会い頭に激突し、「バリバリ」という地響きのような爆音を響かせる。

 親子用自転車は一連の事故に巻き込まれ、前後真っ二つになる。それと同時に、後部はチャイルドシートと荷台の取付部分が破損し、下の後輪部分が分離する。つまり、自転車は「前部」「後部」「チャイルドシート」の三つに分断された。

 また、事故後、ごみ収集車から、青と白の糸が織り込まれた約二センチメートル四方の生地が見つかった。運転席側の窓枠の近くに挟まっていた生地を、警視庁の科学捜査研究所が鑑定した結果、莉子ちゃんのデニムのオーバーオールの生地と一致した。

ADVERTISEMENT

 つまり、莉子ちゃんは飯塚の車に接触し、さらにチャイルドシートごとごみ収集車に激突した。その後、衝突地点の方向に向かって、路面に叩きつけられた。

生死を分けた瞬間

 実はこのとき、真っ先に莉子ちゃんの救護にあたった人がいた。第一現場で石川を助けた看護師の女性だ。一緒に石川を救護した男性から「この先にもたくさん人が倒れている」と聞き、急いで第二現場に向かったのだ。人命最優先と考え、会話中の警察官に割って入った。

「看護師です。何かできることはありませんか」

 警察官から「子供がいるので、一緒に見てもらっていいですか」と言われた看護師が確認すると、莉子ちゃんは微動だにせず、頭や顔から多量の出血をしていた。経験上、莉子ちゃんに触らず、救急隊の到着を待った方がよいと考え、警察官にそう伝えたところ、警察官から「他にも救護が必要な方がいるのでお願いします」と言われたという。彼女は事故後、警視庁の捜査員に「莉子ちゃんに何もできず、申し訳なかった」と葛藤を漏らしている。