二人とも即死
真菜さんと莉子ちゃんは真っ先に搬送され、事故から約三〇分後、新宿区河田町の東京女子医科大学病院に到着した。真菜さんは首の骨折など、莉子ちゃんも頭蓋骨の骨折などが原因で、二人とも即死だった。警視庁によると、自転車乗車中のヘルメット非着用の致死率は着用時の約二・三倍だ(二〇二一〜二〇二五年)。ヘルメットを着用していなければ、もっと悲惨な結果になった可能性がある。
飯塚の車の動きに戻る。車はごみ収集車と接触し、車体の破片を四方八方に飛び散らせる。
その反動で、反時計回りにスピンしながら、弧を描くように横滑りする。そして、護国寺方面側の横断歩道に後部から突っ込む。横断歩道上には、複数の歩行者がいた。
ある男性は、事故の「ドン」という衝撃音を聞いて後ろを振り返ろうとした瞬間、聞いたことのない「バリバリ」という音が聞こえた。すると、車が一気に迫ってきた。わずか二秒足らずの間に決死の思いで前方に向かってジャンプするも、車に接触して転倒し体の複数か所を骨折した。何とか立ち上がったものの、苦痛のため再び倒れた。怪我は全治約一年と診断された。
九〇代の女性は習い事の昼休み中だった。外食から戻る途中、仲間の八〇代と七〇代の女性とともに事故に巻き込まれた。九〇代の女性は、車の破片が飛んでくるのを見たのち、気を失った。意識が戻った時は、ごみ収集車のバンパーを枕にするような格好で、路上に倒れていた。