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不自由な手で包丁を握ると…
すると、包丁の柄がすっぽりと指と手のひらの間に収まり、しっかりと握れるではありませんか。そのまま食材を切ってみたら、何の問題もなく切ることもできました。
こうして生き残ったことが運が良かったのか、悪かったのか。それはいまでもわかりませんが、神様が子どもたちのために包丁を握れるようにしておいてくれた、と今では前向きに考えるようにしています。
記念すべき第一回目のヘリオス子ども食堂のメニューには、僕のオリジナル料理「和風麻婆豆腐」を選びました。
生姜をベースにした、子どもでも食べやすい、少し優しい味付けの麻婆豆腐です。
この味には、僕の思い出が詰まっています。
幼いころ、おなかを空かせていた僕に、時折、実家に帰ってきた姉が作ってくれた和風麻婆豆腐。あのときに感じた、温かさと、おいしさ……。
「あの味を、今度は自分が子どもたちに届けたい」
そんな思いで、このメニューを選びました。
ヘリオス子ども食堂は予約制にしました。
本当は誰でも、ふらっと食べに来られるようにしたかったのですが、そうなると大勢来てくれたときに料理が足りなくなるおそれがあります。
おなかを空かせてやってきた子どもに、「ご飯がないから帰って」とは口が裂けても言いたくありません。