だからこそ、必要な食事の数を事前に把握し、1人でも多くの子どもたちに温かい食事を届けるため、予約制という形を選んだわけです。
子どもたちの顔を思い浮かべながら、下ごしらえを進めていきます。
調理中はどうしても立ちっぱなしになるため、足や腰が痛みます。
でも、自分で作ると決めたのだから、弱音を吐くわけにはいきません。
僕にとって何より大切なのは、目の前の子どもたちを笑顔で迎え、おなかいっぱいになって帰ってもらうことなのです。
子ども食堂で出会った笑顔
いよいよヘリオス子ども食堂、最初の日が来ました。
「誰も来なかったらどうしよう」
僕は朝からずっと不安でした。予約は入っていましたが、当日になってキャンセルということもあり得ます。
開始時間になると、一組の親子が会場に入ってきてくれました。
「よかった……」
思わずホッと息が出ました。
子ども食堂をやるにあたって、僕にはひとつ気になることがありました。
それは僕の顔が、子どもたちを怖がらせてしまうのではないかということでした。
なるべく怖くならないよう、料理をお皿によそい、笑顔で運びました。
「やっぱり怖がらせてしまったかな……」
僕の顔が気になるのでしょう。子どもは不思議なものでも見るように、じっとこちらを見つめています。
わが子の視線に気づいたお母さんが、少し気まずそうに早く食べなさいと促しました。
子どもが麻婆豆腐をスプーンですくって口に入れました。
「どう、おいしい?」
思わずそう尋ねると、その子は「うん、おいしい!」と飛び切りの笑顔で答えてくれました。
その笑顔を見て、僕も自然と笑顔になりました。
子どもたちはわかってくれる。心配なんかしなくてよかったのです。