「総理の判断に従うのは当たり前」
『文藝春秋』5月号に掲載されたインタビュー(「安倍後継は菅官房長官も十分資格あり」)で、聞き手の政治解説者・篠原文也氏に「自民党が参院選に勝利する戦略として『衆参ダブル選挙論』が浮上しています」「本当に勝てるならその手もあると思いますが、小選挙区制度下では、衆参が一気にひっくり返り、政権交代につながりかねないリスクも伴います」と問われた二階氏は、次のように答えている。
「衆参ダブル選挙だからどうのというテクニカルなことには全く期待していません。そもそも『ダブル選挙で助かろう』という発想自体がおかしいし、残念ですね。筋で言えば、やはり参院選1本で真正面から突き進んでいくべきです」
このように釘を刺しつつも、二階氏はこうも明言している。
「とはいえ、総理が『やる』と言えば、我々は総理の下にあるのですから、当然(衆参W選を)やりますよ。総理の判断に従うのは当たり前のことです。いずれにせよ、『やる』も『やらない』も現時点で予言することはできません。何が起こるかなんてわかりませんから」
萩生田氏は、今回の発言を「個人の見解を申し上げた」と釈明している。しかし、額面通りに捉える人は少ない。萩生田氏は安倍首相の側近中の側近である。少なからず官邸の意向を汲んだものと考えるほうが自然ではないだろうか。萩生田発言を受けて、菅義偉官房長官は19日の記者会見で「リーマンショック級の出来事がない限り、10月に引き上げる予定だ」と述べ、安倍首相本人も20日に大阪で行った街頭演説で「10月には幼児教育、保育の無償化を行います」と“増税延期”については否定してみせた。
ところが21日夜に出た大阪・沖縄の衆議院補選の結果を受けて自民党に衝撃が走った。事前の世論調査でも苦戦が報じられていた通り、自民党の公認候補がいずれも落選したのである。夏の参院選の“前哨戦”と位置付けられていただけに、この2敗は大きな痛手となった。早急な立て直しのために、安倍首相は次の一手をどう打つのか――。永田町に政局の風が吹きつつある。
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ポスト安倍問題、憲法改正問題、日韓問題など現在の政治的課題について二階俊博幹事長が率直な思いを明かした「安倍後継は菅官房長官も十分資格あり」は、『文藝春秋』5月号に掲載されている。