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特集観る将棋、読む将棋

2019/08/09

「指す戦法が決まらねぇ」

――なぜ相振り飛車だったんでしょう。

都成 確か、黒沢さんの対抗形がめちゃくちゃうまいから、当時の自分は極力、対抗形にしたくなかったんですよ。でも居飛車にすると飛車を振られるし、飛車を振ると居飛車にされる。そういうのを警戒して、相振りに誘導するために▲6六歩でした。

黒沢 ▲6六歩で困った記憶があります。

――黒沢五段からすると、都成五段のようなオールラウンダーと指すときは、作戦は立てにくかったですか?

黒沢 いや、自分は三段リーグでは相手を見て作戦を立てていないです。この相手にはこう指すというよりは、この局面ではこう指す、と考えていました。

都成 そこは逆ですね。自分は、この相手にはこう指す、と考えていたと思います。

――都成五段は芸域が広いから、いちばん相性のよい作戦を選べそうです。

都成 理想をいえば、そうですね。ただ、自分自身が分かんなくなっちゃうときもあるんで……。

―――自分自身が……?

都成 盤の前に座って、本当に自分が何を指すかわからないときがあって。指す戦法が決まらねぇって感じで。

黒沢 へぇぇ。

 

都成 託せる戦法がない時期もあったので、そういうときは何を選んでも後悔しそうな気がして……。だから、相手を見て色々、作戦を練るのは、スタイルとしてはよくないのかもしれないですね。初手で手が泳ぐときもありました(笑)。

年齢制限ギリギリ、26歳でプロに

――都成五段の四段昇段は年齢制限ギリギリで、2016年でした。

都成 最後のリーグは振り飛車メインでした。先手番だと中飛車ばかりでしたが、陰の原動力が藤井システム。意外に思われるかもしれないですけど。帰ってきたんですよ、入会当初に(笑)。

 

黒沢 初心に戻って上がったんですね(笑)。

都成 今度はちゃんと攻める藤井システムです(笑)。当時、少しはやったんですよね。後手番で藤井システムを指して、確か全部勝ったんですよ。

――もう、初手で手は泳がなかったですか?

都成 ええ、そのときは指す戦法が決まっていたので。変な戦法とか、しなかったはずです(笑)。一時、意味不明な戦法していたので……。

――ああ、都成流とか独創的な戦法がありますね。どうやって生まれたんでしょう?

都成 いや、迷走しているときに……。三段リーグで使わないような戦法を指しているときもあったんですけど、さすがに最終の年齢制限の期には、変で笑われちゃうような戦法は指していないはずです。

#1「棋士ってオフの日は何をやってるの?」20代棋士2人に聞いてみたより続く)

 

写真=松本輝一/文藝春秋

黒沢怜生五段(くろさわ・れお)/1992年3月7日生まれ、埼玉県熊谷市出身。高橋道雄九段門下。2014年、四段。2016年、五段。
関東所属の振り飛車党。中終盤に力を発揮する。
2016年、第29竜王戦5組で優勝。2017年、第43期棋王戦で挑戦者決定二番勝負まで進出した。2018年、第44期棋王戦でベスト4入り。

 

都成竜馬五段(となり・りゅうま)/1990年1月17日生まれ、宮崎県宮崎市出身。谷川浩司九段門下。2016年、四段。2018年、五段。棋戦優勝1回。

関西所属のオールラウンダー。2019年4月からNHK「将棋フォーカス」の司会を務める。
2013年、第44期新人王戦で優勝。奨励会員が優勝したのは史上初。2018年、第76期順位戦でC級2組からC級1組に昇級。第31期竜王戦ランキング戦6組で優勝。

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