昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/06/22

小池は男性社会によって生み出された「スター」

―――同じ女性として、小池氏をどう見ますか?

石井 男性社会によって生み出された「スター」だと思います。日本の社会の歪みや弱点を巧みに衝いて飛躍してきたのではないでしょうか。女性が活躍する新しい社会の代表者として見られていますが、そうではなくて、むしろ古い男性社会が生み出した偶像であるように思えるのです。古い価値観の終焉の象徴ではないか、と。それが男性でなく女性の小池さんなのが面白い。 

 

 しかし、その一方で、テレビからネットの時代に移行し、外見の良さや雰囲気や饒舌さといった種類の自己アピール力がますます重視される世の中になっていくのだとしたら、「小池百合子」的存在は今後も増えていくのかもしれない、とも思いました。 

 彼女が表舞台から退場したとしても、彼女を生み出した土壌そのものが変わらなければ、次々と「小池百合子」的人物が誕生するでしょう。 

―――「古い男社会の偶像」として小池氏をみると、義理人情の二階俊博氏と人を切り捨てる小池氏、真逆の二人が上手くいく理由が見えてきます。

石井 二階さんは古い男社会の典型的な「オジサン」ですよね。小池さんはこういった昭和的な男性を御すことには長けている。若い時から、そうした年上男性たちに引き立てられてきたわけですから。小池さんにとっては、自分よりも若い安倍総理より、二階さんのほうがずっと扱いやすいのでしょう。

 小池さんは4年前の都知事選で、「リーダーが女性になることで社会が変わる」「古い政治を新しく」「おっさん政治との決別」と叫んで当選しました。しかし、実際には、今でも「おっさん政治」の象徴である二階さんに庇護を求めて、恩恵に与っているのが小池さんです。まったく矛盾しているわけですが、誰も、それを問題視しない。 

―――『女帝』にある、小沢一郎氏と無理やりデュエットする逸話などもそれですね。

“山口敏夫の長男の結婚披露宴に呼ばれた小池は、むりやり小沢をステージにあげるとデュエットの相手をさせ、皆の前で「瀬戸の花嫁」を歌ってみせた。”(本文より)

石井 ぴたりと若い小池さんに寄り添われて、小沢さんのほうが緊張して大汗をかいていた(笑)。テレビ界にいた時から、どうすれば年上の、権力を持つ男性に近づけるか、気に入られるかを熟知している。力を持つ男性に接近し、ポジションを得ていく。

 

 男が人事権を握っているのだから、そうするしかないということなのかもしれませんが、では、政治家の実力とは何で測られるべきなのか。政治家の本質とは何なのか。そうした問いにもつながっていきますね。

女性に対しては「共感しあえるわよね」と売り込む

―――男性同様に、女性たちも小池氏にもてあそばれます。

石井 必要に応じて、小池さんは女性に対しては「女同士だから共感しあえるわよね」という感じで自分を売り込んでいきます。男性には女性に対する幻想があるけれども、女性にもやはり女性に対する期待や幻想がある。

 築地女将さん会の方がはっきりと言っていましたけども「女の人だから、価値観を共有できる」とか「男の政治家のように経済優先で市場問題を考えないはずだ」、あるいは「子どもを育む性として、食の安全や健康を男性より重視するはずだ」と思ったそうなんです。小池さんも、そうした発言を盛んにしていましたから。でも、それは見事に裏切られるわけです。 

 小池さんは女性に対しても「女」を利用した。女も男も、小池さんが女性であるということに捉われて、彼女の本質を見極められなくなっているのかもしれません。