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何かしらの“外傷”を負っている人が異様に多い

 眼帯をした者、大量の絆創膏を身体中に貼っている者、松葉杖をついた者など、ケガの種類や程度は違えど、とにかく一様に何かしらの“外傷”を負っている人が異様に多く、なかには“治癒不可能な怪我”を負っている人も少なくない。

「えー、マジッすか!?」

「え、めっちゃ怖いんだけど……」

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「でも、超気になるな!!」

 Y先輩の話を受けて興味津々の仲間とは裏腹に、Aさんは次々明らかになる噂を聞くたびに寒気が増していったそうだ。

 それから数日が経ち、Aさんはそのとき宅飲みをした仲間内と、また飲み歩いていた。

 瞬間、ふと、その道が例のマンションに近いことを思い出し、うっかり「そういや、あのケガ人のマンションこの近くだよ」と漏らしてしまったのだという。口走った直後に後悔したそうだが、Y先輩の話を聞いたときから興味津々の様子だった友人・Kさんが、酔った目を輝かせてこう言いだした。

「行ってみようよ!  遠くから集合ポスト眺めるだけなら別に大丈夫でしょ!」

※写真はイメージ ©iStock.com

突如響きだした道路工事のような大きな音

 みなお酒が入っていたこともあり、なんだかんだと言いながらも、全員でマンションの近くまで行くことになってしまったのだそうだ。

「マジでケガした住人出てきたらやばいな!」

「(たしかあの角を曲がった先だったよな……)」

「そのときはあたしたちK置いて逃げるから」

「(やっぱりもっと強く止めるべきだったかな……)」

「ちょっと、それはさすがにひど−——」

 ガガガガガガガガガガ!!

 ガリガリガリガリガリ!!

 マンションの目と鼻の先、曲がり角の向こうから突如道路工事のような大きな音が響きだした。

「びっくりした!  なに!?」

「え、工事?」

「でも……何の明かりもなくない?」

 角を曲がると、そこにはただ薄暗い道と、例のマンションがあるだけだった。

 たどり着く前から、言い知れぬ不安と恐怖が一同を襲ってきた。

「……ねえ、やめないやっぱ?」

「いや、ビビりすぎでしょ、ここまで来たんだし見ていこうよ!」

 一同は恐る恐るマンションの向かいまでたどり着き、そばにあった自販機に隠れるようにしてそのマンションの玄関フロアと集合ポストを眺めていた。