「あの郵便受けなに……?」Kさんの自宅の異様な光景
「LINEは既読もつかないし、メールも返ってこないんだよ」
「あたしが電話してもまったく出てくれなかった……留守電何回も残したのに……」
にわかにざわめきだす仲間、そして心配して駆けつけてくれたY先輩とT先輩らを見るうちに、Aさんの心中に申し訳なさがこみ上げてきた。
「あいつの家は? まだ誰も行ってないだろ? 行ってみるわ」
そうAさんが切り出すと、みな同行を申し出てくれたという。
そうして一行は、大学を後にしてKさんの住むアパートへ様子を見に行くことになったそうだ。
彼の住む2階の部屋に続く外廊下に上がって来たとき、仲間内の一人の女性が悲鳴をあげた。
「あの郵便受けなに……? もうやだ私……やだよ……」
そう言って怯える彼女の視線の先、Kさんの部屋の郵便受けには、ビッチリと郵便物が詰まっていたのだそうだ。
どうしても駆け巡る嫌な想像を振り払うように、Aさんは彼の部屋の前まで早足で進んでいく。そこでAさんは郵便物を間近で見て、鳥肌が立ったという。
ギチギチに詰め込まれた郵便物の宛名が、全部真っ黒のマジックでキレイに塗りつぶされていたのだそうだ。
妙に生活感のないKさんの部屋
「おい! K! いるかぁ!?」
Aさんの叫びに応える声はない。みなが電話をかけても出ない。意を決してドアノブを掴むと、意外にも鍵がかかっていなかった。
ギギッ……。
恐る恐るドアを開け、部屋に入って行くと、意外にも中はキレイになっており、家具などはあるものの、妙に生活感がなかったそうだ。
「もう一回スマホ鳴らして?」
Aさんがそう言って友人の女性に電話をかけてもらうも、部屋の中から着信音はしなかった。それどころか、財布などもなかったのだそうだ。
すると、一人の友人が“ある物”を見つけた。
「なあ、これ……なんだ?」