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いま囲碁界で起きている“人間とAI”の関係──「中国企業2強時代」「AIに2000連敗して人類最強へと成長」将棋界とは異なるAIとの向き合いかた

source : 提携メディア

genre : ライフ, 娯楽

note

大橋:
 ほった先生が取材で写真を撮ってるところに僕と三谷君がいて、『これは名前を使ってもらえるんじゃないか?』と……だから多分、そうなんじゃないかと思います。

──いやぁ……すごいエピソードですね。じゃあ大橋先生は、『ヒカルの碁』に相当な思い入れがあるんじゃないですか?

大橋:
 うーん……一応、通して読みはしましたが、伊角さんや和谷に感情移入しすぎてしまって……。

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──伊角さんがプロ試験で抱える葛藤や、和谷のヒカルへの嫉妬といった部分……でしょうか?

大橋:
 自分が当時思っていたけど口にできなかったこととかが、全部セリフとして書いてあるんですよ。

──ああ……それは読むのがつらいですね。私も、小説家や漫画家が主人公の話って、読めませんもん(苦笑)。

大橋:
 口にはしなくても、心のどこかで思っていることじゃないですか。直視できないわけですよ。好きな漫画は何度も読むタイプなんですけど……『ヒカルの碁』は、つらくて。

(画像は「ヒカルの碁 1」より)

──それだけリアルな物語なんですね……。

大橋:
 院生だったから、それがピンポイントだったんです。僕より5歳くらい下だと、当時10歳くらいですから、憧れみたいな気持ちで読めるんでしょうね。だからあの世代は人数も多い。学生大会とか行くと、他の世代の1.5倍くらいいたりして(笑)。

──いきなり囲碁AIとは関係ない話で盛り上がってしまって恐縮でしたが、いいお話を聞くことができて大満足です!! 充実したインタビューになりそうな予感がします……!

人類、アルファ碁に追いつく

──ではさっそく囲碁AIについてうかがいたいと思います。あの、以前のインタビューの繰り返しになってしまう部分が出てきたら恐縮なんですが……。

大橋:
 更新情報がいっぱいあるから大丈夫です!

──そんなに早く進化してるんですね! では囲碁界に大きな衝撃を与えたアルファ碁のお話からうかがってもよろしいでしょうか? 確か、李世ドルさんに勝って『人類を超えた』とされたのが2016年の3月。今から5年近く前のことです。