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いま囲碁界で起きている“人間とAI”の関係──「中国企業2強時代」「AIに2000連敗して人類最強へと成長」将棋界とは異なるAIとの向き合いかた

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genre : ライフ, 娯楽

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大橋:
 面白いのはですね。最近の世界トップ棋士である中国の柯潔(カ・ケツ)さんや韓国の申眞諝(シン・ジンソ)さんは、今なら多分……最初のアルファ碁【※】には勝てるんじゃないかなと。

※AlphaGo-Leeと呼ばれる。その後AlphaGo-Master, AlphaGo-Zeroが続く。

──ええ!? 柯潔さんは2017年5月にアルファ碁(AlphaGo-Master)と対戦して3連敗しましたが……そこから人類は強くなったということですか?

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大橋:
 はい。今の人類は、昔の人類に7割くらい勝てるようになってるイメージです。

──ええー!? メチャメチャ強くなってる……。

大橋:
 序盤の研究とか、中盤の様々なポイントで強くなっているという感じなので、何子くらい強くなっているという感じではないんですが……対等な条件で戦えば、かなり負けにくいと思います。

──レーティングだとどうなんでしょう?

大橋:
 レーティング上でも、李世ドルさんに勝ったアルファ碁と、今の人類の世界トップは、ほぼ同じくらいです。

──では、現在最も強い囲碁AIは、アルファ碁と比べてどのくらい強くなっているんですか?

大橋:
 いやぁ……AIの進化は遙かに早くて……(嘆息)。

──やっぱ、そうなんですね……。

大橋:
 将棋AIと人類トップの差よりも、囲碁のほうが差は大きいかもしれません。

──そ、そんなに……。しかし将棋のAIでもついにディープラーニング系のソフトが世界一ということになりました。

大橋:
 囲碁のAIはディープラーニングで飛躍的に向上しました。それまでは評価関数をうまくつくることができず、モンテカルロ法という確率の手法で、ここに打ったら勝つ確率が高いというのシミュレーションしていました。

 そこに革命をもたらしたのがディープラーニング。ディープラーニングを用いて評価関数【※】を作ることができて、飛躍的に向上したのです。

※局面の良し悪しを数値化したもの。