文春オンライン

いま囲碁界で起きている“人間とAI”の関係──「中国企業2強時代」「AIに2000連敗して人類最強へと成長」将棋界とは異なるAIとの向き合いかた

source : 提携メディア

genre : ライフ, 娯楽

note

──まるで都市伝説ですね(笑)。

大橋:
 と言いましても、テンセントは絶芸の詳しい学習規模を公開していないんですが。

 それからもう一つのゴラクシー。これはギャラクシーを文字ったものなんですけど(笑)。

ADVERTISEMENT

──ユニークですね(笑)。

大橋:
 このゴラクシーが今、すごく伸びているんです。絶芸は、たまにしか大会に出てこないです。1年に1回ぐらい出てきて華麗に優勝する。

──一般公開する感じじゃないんですね。

大橋:
 テンセントは中国棋院と提携していまして、絶芸は中国のトップ棋士専用のAIになっているんです。

──中国棋院の、さらにトップしか触れることを許されないAIなんですか!

大橋:
 そうですね。聞くだけで迫力があります。

──企業の威信を懸けて開発しているんですね……!

大橋:
 一方でゴラクシーというのは、サーバーの規模は絶芸ほど大きくはないですが、様々な新しい技術を投入して、出る大会はほぼ全て優勝してるんです!

──おお~!

大橋:
 で、たまに絶芸が出てくると、一騎打ちになる。ほかのAIとは頭ひとつふたつ違うんです。ゴラクシーが勝つこともありますが、複数回の対局を行う番勝負だと絶芸が優勢……という関係ですね。

──その2つのソフトは……日本のプロ棋士は使用できるんですか?

大橋:
 そこなんですよ! 先ほど申し上げたとおり、絶芸はトップの中国棋士しか使えないんですけど……テンセントが持っている囲碁サイトがあって、そこでは簡易版の絶芸が全世界に公開されているんです。

──簡易版をダウンロードできるんですか?

大橋:
 いえ。その対局サイトで打った碁を、絶芸で検討できるということです。

──へぇぇ~!

大橋:
 普段使いには便利です。ただ、思考時間は1秒くらいで中国サーバーから返ってくる感じです。

──深くは読まないんですね……だとすると、プロには物足りない?

大橋:
 はい。プロはそこからヒントを得て、自分のハイスペックなパソコンで検証するという感じです。もちろん、絶芸ではないAIにはなるんですが……。

関連記事